ポインセチアは甘くない | ナノ


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「皆さまそう逸らず、彼女に入れてからでお願いしますねー」
主催が置いたマイクを手に取った高沢の間延びした声が耳障りだった。今回の一番手はお前になるんだよと顔にかかった髪を払う。
これからこの人数相手にしなきゃいけないなんて大変だなぁ、にんまりと目を細めた高沢がシャツのボタンを外していった。
素を晒したナマエの上半身にまたがった男の舌が頬を撫で、脂ぎった掌が素肌を撫で鳥肌がたつ。いやらしい手つきで下へと向かっていく指がスキニーの留め具に手を掛け剥ぎ取られた。

もう股間でも蹴って少しでも反撃してやろうと半ばやけになり、あげた脚は男に当たることはなかった。
色のついたライトが回る暗い空間に黒いコートが翻り頬を嘗めた男の巨体が腹に受けた衝撃に化け物のような声をあげ吹き飛んだ。
「てめぇ、早まってんじゃねえよ!」
突然の襲撃に呆然とする男たちをなぎ倒し、服を剥かれかけた彼女たちを拾ったデイダラが叫びながら鬼鮫に3人目を投げ渡す。
泥酔した3人を上手く受け取った鬼鮫が階段を駆けあがっていきそれに続く様にサソリが2人を引きずるように続いた。
飛段が茶髪と黒髪の腕の拘束を切り落とした鋭いポケットナイフをナマエに向かって投げ、間一髪のところで避けた高沢がいたソファーに勢いそのまま突っ込んだナイフでイタチがナマエの拘束を切り落とした。
擦れて薄皮のめくれてしまったその手首をつかみぐっと引き寄せると自身が着ていたロングコートをナマエへと被せ、背後から襲いかかってきた男の攻撃を避けると足首に向け回し蹴りをかました。
悲鳴を上げて顔面から倒れこんだ男から離れ、無言のままのイタチがじくじくと痛むそこを強く押してきたのでナマエは歯をかみしめ顔を歪めた。

「撤収!」既に上に登りきったサソリが一人を単独行動していた角都に渡す。
ほろ酔いだった彼女たちも流石に酔いがさめていた、デイダラに引っ張られる形で必死に階段を上っていった。
少し離れてしまっていた飛段とイタチだけでも逃がしてたまるかと恰幅のいい男たちが人質にすると叫ぶ。
金の力で兵隊と化した男たちが5人を囲う様に隙間をつめ固めた。

「チッ…イタチてめぇのせいだからな」
作戦通りに行けばもっとスマートに行けたのによぉと上唇を舐めた飛段が抱えていた黒髪と茶髪に一声かけてその場におろし、イタチに押し付けた。
恐怖でふらふらになった彼女たちが倒れこんできた為流石にナマエの腕を放したイタチからぱっと腕を自身に引き寄せ撫でる。
めちゃくちゃ痛い……。羽織るような形になっていたコートに腕を通し二つだけボタンを留めるとこっちを一瞥したイタチのすぐ後ろについて行くように駆けだした。
道を作っていた飛段が階段にたどり着くとナマエの後ろに回る。

イタチの黒いコートのベルトに指が届きかけた高沢に「あばよ」と満足そうな笑みをおまけに付けて投げ、その顔に蹴りを入れた。


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