宝石閑話 | ナノ


▼ バレンタイン



「我愛羅君あーん」
「あーん」
ブラウニーを一口サイズに切り分けた私は手伝ってくれた我愛羅君に余った端の方を摘まみ口元へと運ぶ。
指ごと食べられたが葉を立てなかったところを見るに注意してくれてたらしい。
流石!私の息子は優しい!レシピ通りのそれは我愛羅君の味覚だと少し甘かったかもと不安になったがおいひいと顔を綻ばせた我愛羅君に安心し私も端を一口摘まんだ。
「流石、我愛羅君のおかげで美味しいブラウニーが出来たよ」
ありがとうね!もぐもぐと口を動かす我愛羅君にお礼を言いながら包丁を洗いしまった後、プレゼント用の可愛い紙のカップを取り出して先にテーブルの前に立っていた我愛羅君の元へとブラウニーを運ぶ。
テマリちゃんとカンクロウ君、バキさんやキンコウさんやヤリスマルさん。マタンさんに我愛羅君のパパ。
今までかかわった面子の顔を指折り数え、我愛羅君に組み立てたカップを渡し、流れ作業のように詰めてもらう。
ブロックにしたそれがカップの中でころりと上の面を変え、トッピングした面とのコントラストを利かせた。
OPP袋に同じ数ずつ詰めたカップを入れリボンで結ぶと、手提げの中へとそっと入れてもう一度数を確認した。

「ナマエ、ばっちりだよ」
「よしよし、助かったよありがとう我愛羅君」
隣で後ろ手を組み胸をそらす我愛羅君の頭を撫でてやればへにゃりと鼻高々だった表情を崩し笑った。
そんな彼を愛しく思いながら先ほどブラウニーを持ってくる前にこっそり詰めておいた一つ分を我愛羅君の前に差し出した。
「これは私から、我愛羅君の分よ」
ハッピーバレンタイン。してやったりと驚く我愛羅君を見ながら笑っていた私にふっふっふと意味深に笑い出した彼を見て何ぞやと眉を寄せた。
そんな我愛羅君が私の背後をゆっくりと指差したので同じようにゆっくりとした動作で振り向くと我愛羅君に良く似た砂分身が私の背後を取っており、先ほど私がしてきたのと同じように袋を渡してきた。
「はっぴーばれんたいんナマエ!」
ナマエが袋を取りに行ってる間に詰めたんだと忍の片鱗を見せた我愛羅君にしてやられたと額を抑えた。



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