ヤスデ | ナノ


▼ 君はこのドレスにとても似合っているよ



本日はちょっとしたお手伝いの為に現在雨隠れの里までリーダー達と一緒に来ていたのだが、先ほどようやく用事が終わりリーダーと小南さんがどこかに出向いてしまった為ここで一人待機しているのだった。
あ、任務については極秘なので聞かれても教えません。文字通りぶっ飛ばされますし。
まあそれであまりにも暇だし外に出るなと言われているし雨降ってて景色見てても滅入るしでだれていたんですけど、先ほど一旦帰ってきたリーダーが二言三言小南さんと話をすると近辺の甘味屋で買って来たというあんみつを私の前に置き、駄賃だと差し出してきた。
バクテリアちゃんたちが死骸を食べるために肉という物体が食べられなくなった私だが、甘いものは一般的な女子たちと変わりなく好物の部類である。
っべー、リーダーシュキ!!!ありがとう!半ば興奮気味にそう伝えてプラカップのふたを開けると早速付属のプラスプーンをブッ挿した。

「じゃあちょっと行ってくるから」なんて言って再び出て行ってしまったリーダーに気を付けてと声をかけると、若干雨に濡れた小南さんは私の前に戻ってきた。
しっとり美人である。水の滴る髪をタオルで挟み拭いていたが、ここで髪飾りの…確か折り紙がまさかの耐水性なことに気付いた。
形を崩すことなく凛とその頭の上に乗っかっているそれはまるで小南さん本人の様であった。
たとえこけしヘアーだろうが何だろうがこれでも私はシャレオツを気にする性別と歳である。
動きにくいし主にサソリに馬鹿にされるからアクセサリーの類を付けるのをやめてしまったが眉の形だって整えてるし薄く化粧もしている。それなりに羨ましかった。

「小南さんの髪飾り、いつも思ってたんですけど本当に綺麗ですよね」
「あら嬉しいわ、でもそんなに褒められてもあんみつのお代わりはないわよ」
「そんなんじゃないですよ、もー!」
純粋に似合ってるなって思っただけですー!と先ほど貰ったあんみつを頬張り若干拗ねたように口を尖らせて答えた。
ヤスデを黙らせるにはお菓子与えとけばいいみたいなリーダーの…というか暁内で蔓延する軽いオピニオンをひしひしと感じる。飛段君には肉、私にお菓子みたいなところ絶対あると思う。
私は元々言葉にするまでに時間がかかるからうるさい方じゃなかったと思うんだけど、何でだろうと考えれば“子ども扱いされているのだ”とバクテリアちゃんが口々に言いだしたので、その辺にいたどぶ鼠を取っつかまえて物理的に黙らせた。お前らこれ食ってていいから黙ろうか?

押し合いへし合い我先にと鼠の肉を飼いたいしていく様子をちろりと一瞥し、それに濡れてないと疑問だったことを口に出す。
私は暁で忍術の幅が一番小さかった。それこそ一般人並である。まあ元々一般人なんだから恥じるも何もないのだが。
チャクラで案外何とかなるだなんて知識を持ち合わせているわけがなく、小南にそう返されれば匙を加えへぇと唸るしかなかった。
「ヤスデも作ってみる?」
そう小南が提案したのは自分の髪がほぼ拭い終わってからだった。


目の前で何度も同じところをやらせていたのに出来栄えが違うのはどうしてだろうか。
時間もかなりかかったし折れ線もぐちゃぐちゃで酷いものだが、それでも確かに小南と同じ薔薇みたいな物体だった。薔薇だと言われればまあそう見えなくもないかなとフォローされる程度には。
ようやくできたそれに小さく感嘆の叫びを口から漏らすと小南さんからもお褒めの言葉がかかった。
「だ、大事にしますねコレ!」
普通ならステップアップ式に難易度をあげていくものだが、鶴すら折れないヤスデには奇跡そのものだった。
興奮し鼻息を荒くする妹分に小南は優しく微笑んだのだった。


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