ヤスデ | ナノ


▼ wet Heaven



「こう暑いと喉が渇きますねー」
外套の前を少しくつろげたトビは私の後ろで襟元を使いパタパタと自身の胸元に風を送っていた。
デイダラ先輩の粘土の鳥で上空から捜索しているのだが正直そんなトビ君とおしゃべりするほど私に余裕はなかった。
代わりにデイダラ先輩が人のアートの上に乗っといてテメェはそれか!うん!?といつもの口癖を末端に付け勢いよく振り向く。落ちる落ちる!
ぴいぃと喋らない足元の鳥の代わりに甲高い悲鳴を上げ腹に回していた腕を食い込ませると絞めつけに思い出したという様にこちらに視線をやり頭を撫でてくれた。
だが正直今慰められても困る。とっとと任務終わらせて歩いて帰りましょうお願いします。

「そもそもお前が取り逃がさなければ今頃冷たいアジトで涼めてたんだが?」
「そんなぁ……、あれは急に出てきた向こうが悪いでしょ!誰だって吃驚しますよぉ。ね、ヤスデちゃん」
「うるせートビテメー蹴り落とすぞ私を揺らしてんじゃねえ」
下を見るのすら怖くて景色を楽しむ余裕のない私の肩を掴み、同意を求めて揺らすトビ君に私だってデイダラ先輩と同意見だわがるると吠えれば「ヤスデ性格変わってんぞ…」と前方から突っ込みが入った。良いから先輩は前向いてて。
「水なら私のポーチの奴飲んでていいから黙ってろ」
常温だけどいくらか火照った体を涼めることくらい出来るだろと背中に額をくっつけたままくぐもった声で投げかければトビ君はえーと実に嬉しそうな声色でくねくねと身体を揺らしだした。
「身体まさぐってほしいんです?こんなお天道様の真下で大胆っすねヤスデちゃん!」
「ポーチっつってんだろ!」
胸触ってんじゃねえよと私の代わりに怒鳴ったデイダラ先輩が反転し、私の脇に腕を通して支えつつ器用にトビ君だけを蹴落とした。


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