ヤスデ | ナノ


▼ 孤独を拭うのは信仰のみ



「お昼どうする?」
いつも昼食を用意してくれている鬼鮫さんたちが一週間前からいない。
それに気づいたのが3日前なんだけど皆が皆自分の分だけを適当に作ってたからとうとう材料が無くなってしまったのである。
鬼鮫さん以外に冷蔵庫の中身とか棚卸しなかったのが悪いんだけど、とりあえず外は豪雨で食料調達になんて行きたくないし、残ってるメンバーがこれまた食材調達を押しつけても絶対腰を浮かそうとはしない奴等ばかりなのが問題だった。
「デイ…」
「粘土濡れたら爆発どころか空飛べないから却下な、うん」
比較的頼みを聞いてくれそうな先輩に瞳を潤ませ近寄るがこけし頭でやられても…と一刀両断された。
そういえば…、デイダラ先輩がじとりと私の頭を見て「なんでこけし頭なんだ?」とのたまう。
言われても困る。困るというか怒っていいかな?いいよね?お前が爆発起こして毛先ボロボロになったから小南さんに切ってもらったんだよ。
後ろの方はダメージがかなり大きかったせいで短いんだよ!分が悪くなったのを察して歯ぎしりという不快音を奏でる私を無視しどうするべと飛段君と顔を見合わせていた。
「そういえばさァ、ヤスデ蕎麦屋でバイトしてたんだろ?イケんじゃねェの?そば粉はあったぜ」
「ダメダメ、こいつオイラの粘土消失させやがったもん」
ムリムリと大げさに手を横に振るデイダラ先輩。後ろで他の食材を探していた角都さんまで「不器用も大概にしてほしいものだ……」と唸る。
「チャクラ練られてなければ消さないし!」
無理だムリだと謗られ我慢ならない私が3人の後ろから突っ込む。
「見てなさいよこんちくしょう!」叫び飛段君からそば粉を奪うと台所と書いて戦場と読む散らかされたそこへと暖簾をくぐり勇ましく入っていったのだった。


どやねん。エプロンを外した私はデイダラ先輩と飛段君と角都さんの前にドンと音を立てて皿を置き自分の席へと着席する。
腕と足を組んで感想を待つヤスデに「べちゃべちゃ」だの「出汁がきいてない」だのという罵詈雑言が並べ立てられた。
ピクリとこめかみに青筋を浮かべたヤスデが「あ、ちなみに不味いって言ったら皆のそばに待機させたバクテリアちゃんたちがチャクラ吸い取るから」と引き攣った笑みで答えれば、微妙そうだった顔を笑顔に変えデイダラ先輩と飛段君がうまいうまいと褒めた。
「ヤスデ凄いな感心したぜ」
「でしょう?三ツ星の味がわかる仲間でよかったわー!」
棒読みで二人が褒める中、角都さんだけが金ももったいないし腹が膨れるならと取り繕うことなく黙ってそばを啜っている。
一通り褒め言葉を浴び気が済んだヤスデが二人を止め、用意していた自分の分を一口すする。

「……、皿洗いじゃやっぱ作れないよねー」
「お前ェェエエエ!」
バクテリアはコイツを攻撃しろと箸でヤスデを指す飛段君に隣に居た角都さんがうるさいと蹴りを入れた。


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