ヤスデ | ナノ


▼ 壊れた世界の再構築



何だこの一発触発な状況は……。巻き込まれただけのデイダラは今すぐその場から逃げたくなった。
前門の飛段、後門の風影3代目……を構えるサソリ。狙いは自分に引っ付いてるヤスデだろう。
ちょっと前から暁の中にいまだにいられることが不思議なほど動けないヤスデを嫌悪していたはずの2匹のハイエナが付きまとい始めた。
「でーだら…、助けて」
泣きそうなヤスデの頭を撫でれば空気が一段と寒くなった。嫉妬だこれ……。
人間が嫌いじゃない飛段はまだしも旦那が同じ気を向けているのは吃驚した。本当にどうしたんだ、うん。

「おいおいおいデイダラちゃん、そろそろ撫でんのやめてこっちに寄越そうぜ?」
「飛段に渡したら穴開けられかねん、良いからオレに寄越せ」
「良くわかってんじゃねえか人形」
「あ?」
オイラたちを挟んで言葉の投げ合いを始めた2人にさらにマントの上から背中に顔を埋めてくるヤスデ。お前その行動が旦那たち助長させてんのわかってんのか……。

「おいヤスデ!」
案の定オイラに向ける2人の目がさらに嫉妬に燃えていて、自然と引き攣る口角。
もうヤスデ置いて逃げようと算段を始めたオイラの耳に飛段の「どっちのがマシか」という悲しすぎる問いが届いた。
あいつの頭でも好かれてないことは解っていたらしいけど、それはそれで聞いてるオイラまで悲しくなってくるぜ、うん……。
ぐりぐり背骨を鼻の骨で押していたヤスデが少し顔をあげたようだった。前にいる飛段にオイラの左脇から顔をのぞかせ口を開く。

「でーだらが一番優しいのですきです」
「(終わった)」
不発弾はオイラの専門外だぜ、うん。


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