短編 | ナノ


▼ 傀儡と体温



剳石主が暁にいたら



「サソリ君誕生日おめでとう」
一人で指の間にはさみ持っていた3つのクラッカーを鳴らし、リビングに入ってきた俺にお手製の三角帽をかぶせてくるナマエ。
煩いのに紛れて影の薄くなってはいたものの、もう一人ペアを組んでいるデイダラのみだ。
まあ全員出払っているからアジトにはそもそも3人しかいないんだが。それにしても……。
「20越えて誕生日なんてのを祝われるとは思わなかったぜ」
テメーもよく付き合ってんなとデイダラを憐れめば、押し切られる形で強制参加だったそうだ。ご愁傷様。

「誕生日くらい祝わなくてどうすんの」
流石に1年中あんなだと息が詰まっちゃう、と俺もデイダラのように押し切られる形で肩を持って案内された椅子へと腰かける。
目の前に立っている小さなケーキは手製の物らしい。そういえばコイツ普通に料理で来たんだったな。
「ろうそくなかったので代わりに主役のサソリ君、入刀お願いしまーす」
ぱちぱちぱち。とうとう乗せられたデイダラが拍手をしやがった。
ナマエに上から手をかぶせられ、握った包丁をゆっくりと落とす。ああ、俺も乗せられてやがる……。
他人事のように自嘲的に笑い、後ろから被さる様にして「はーいおめでとう」と騒ぐナマエの体温に身を預けた。
寒くなってきた季節にピッタリの温さだと思った。




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