宝石とさよなら | ナノ


▼ 76



子供の成長は早い、それは肉体的にも精神的にもである。
たまに来るキンコウさんや、テマリちゃんとカンクロウ君に教えられ、めきめきと能力を伸ばしていた。
こっちに来てもうすぐひと月だ。
我愛羅君が修行をしている間、私は日向に出てこの世界の本を片っ端から読みまくっていた。
この世界にまつわる話や守鶴という化け物、聞けば皆が口を閉じてしまったので自分で調べるしかなかった。
一通り本を漁り、たどり着いた答えは“我愛羅君から守鶴を抜くことは出来ない”という何とも悲しい事実だった。
抜いてしまえば人柱力である我愛羅君は死んでしまい、閉じ込められていた反動で暴れ出した守鶴が里も壊しだすだろうという事。
我愛羅君は一生あの他人を軽蔑する目と付き合って行かなければならないのだ。私にはどうすることもできない。


「はぁ……」なんて思わずため息が出てしまった。
暑さと乾燥に強い木が私に陰を作ってくれる。顔に手の甲を置き目を閉じていれば、どうしたのと近くで一人修行をしていた我愛羅君が寄ってきた。


「我愛羅君が2人に見えるんだけど」
まーた熱中症起こしちゃったのかなんて起き上がる、水分補給しないと。
ピッチャーの水を飲もうとテーブルに手を掛ければそこにも我愛羅君が1人いてコップに入れて渡してくれた。
思わず目を擦る。めまいが起こってるなら分裂した我愛羅君は全員が同じ行動をしているはずだ。
だが自分の周りでわらわらと3匹の仔狸もとい我愛羅君が背中を見せたり背中からホールドしてきたりとバラバラに動いている。
おかしい。仔狸に化かされたか……うっ、ちょっと待って後ろからはやめて、ギブギブ首締まってる!

パンパンと後ろにいる我愛羅君の腕をタップしたら少し緩めてくれた。
余裕ができ一息ついて自分の周りを見回すが、やはり消えていない。

「砂分身の術だよ」
やっと成功したの、と嬉しそうに花をいつもの3倍にして散らす我愛羅君が「当ててみて」なんて難しすぎる問題を出してきた。
成功したなら当てられるわけないじゃないの……。
困った私は「どの子も私の可愛い我愛羅君だから選べないです」なんて答えを明後日の方向にずらし、はぐらかす。
ナマエは困るとすぐはぐらかすと頬を膨らまし抱きついてきた。3匹共である。
我愛羅君で構成されたハーレムで私死ぬんじゃないだろうか。
上に乗ってきた我愛羅君たちで潰れそうになりながらもぎゅうぎゅう抱きしめてやればきゃあと仔狸の嬉しそうな三重奏が響いた。


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