宝石とさよなら | ナノ


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蓄電池へコードを突っ込んだのを合図に唸りだしたテレビ画面に違和感を覚える。
それが何なのか、電波状況が芳しくないらしくひたすらいじっている忍たちを見ていてようやくひらめく。
ああそうだ。我愛羅君の家では普通に電気でテレビが見られるのにどうしてこの部屋のテレビはこんなに面倒な方法で通信しているのかということだ。
大衆が買えるほどに安くはないのかもしれないが、離れに設置できるほどには流通があるのにこういう場に使うものをなぜ新調しないのだとそんなナマエの疑問が表情に丸だしだったのか、チクマがこれはテレビではなくあくまで通信機器だから少し仕様が違うんだと解説をし始めた。

「通信機器の最低限の機能として、相互に連絡が取れなくてはいけない。そして各家庭に流している電力を使うとたまに妨害が入るからね」
電力元を制圧したり砂嵐で地表に出てしまったコードを人獣問わずいたずらして回るようなやつもいる。コードを守るにもコストパフォーマンスは嵩む。
……結局、どの国の忍も大名もこの機器だけは新調せずに古式のを使っているんだ、単純だけど一番安全で安いからねと笑うチクマが噎せ、ゴホゴホとやっている間に準備が整いましたと忍の一人が声をかける。

「ゲホ、よしじゃあ、頼むからねナマエ」
「うう……やっぱり無理じゃないかな」
だんだんと不安になっていくナマエが止めようとチクマの肩をつかむが問答無用だとそれをやんわり払い、マイクのテストを行う。
苦手な大名たちの相手をしなければならないのかと緊張で死にかけているナマエを気にすることなくどんどん通信機のコネクタを繋げていくチクマたちと、少しノイズがかっているものの良く知った口調と声色だと相手に気づいたナマエは顔をあげその姿を確認した。



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