宝石とさよなら | ナノ


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「風影殿は火影代理殿とは別の…こちらに向かってきている隊に会う為出て行ったが、一度戻って来るらしいのでもうしばらくお待ちくだされ」
情報交換を終えたのち、我愛羅君たちの所在を教えてくれたミフネさんが夕食を運んでくると出ていく。

いったい誰に会いに行ってるんだろうねと侍たちが部屋の戸を閉めたのを確認してから手元のメモをじっと眺めているサソリに軽く投げた。
サソリは由良さん以外にも優秀なスパイを部下として育て上げつつ抱えていたらしく、ナルト君のこともよく知っているようで。
今ではその部下たちに死んだと思わせ契約を切ってしまっているが、暁の時に集めてきた情報の量はチクマちゃんも一目を置いている。
そんなサソリが「まあ考えられるのはサスケを追っている九尾の人柱力あたりだろうな」と投げやりに返してきたが、私自身も我愛羅君からナルト君はうちはサスケをずっと追っているんだということを聞いているのでああそうかと納得する。
あっちはすでに敵視しかしていないのも当事者でない砂ですら調べつくしているのにナルト君はそれでもあきらめることはなかった。
泥沼だよなぁと尊敬の念さえ浮かび上がりそうな感想を漏らす。

「オレらから見れば馬鹿みてぇだとしか感想が出てこねぇが、奴のそれに救われたとか我愛羅はくそ真面目な顔で言い切ってたぞ」
「うそ、聞いてないよそれ。いつの話よ」
「夜中だ夜中。しかしテメェは耳元でしゃべってても起きねぇよな、マタンのやつ検査サボってんじゃねえか?」
「マタンさん耳鼻科じゃないから!」
しかもそれ一般の病棟じゃないとやってくれないでしょ、マタンさんはサソリが引きこもってる間から最近までずっと忍病棟にこもりっぱなしだからと突っ込めば「へぇ、そう」と実に心のこもっていない返事をもらう。
こいつ……。歯ぎしりしたいのを抑えにらみつけるが、まあ効果なんてあるはずもなく話をそらすように「んでだな……」とメモを座卓の上に置きこちらを見るサソリ。

「テメェ話の途中で固まってたが宣戦された今その調子でいるとオレがついていようがなかろうが死ぬぞ」
「……、……非日常すぎてついてこれなかった」
「散々聞いた。ただ今のお前はこっちの世界にいるんだ。生き延びることを先に考えろ」
ただでさえ時空間忍術が使えないハンデがついてるらしいじゃねえか。下忍以下の今のままじゃ半日も持たずに死ぬだろうよ。
……ペインが死ぬ前の…、あの男がリーダーだとされていた旧暁で7体の人柱力をそろえちまってるっつーのに、侍共が言うにはこのうちはマダラというやつは神出鬼没な上他人を吸い込んで消すことができるらしいじゃねえか。
内部から崩されてすぐに終わりかねんとうちはマダラの人相書きを指で何度も叩きながら顔をナマエに向けた。
「……心配ありがとう、修行つけてくれるってことね」
「死んでもらっちゃ困るからな、こっちは今後もお前の身体で生計立てる予定なんだ」
「言い方どうにかなりませんかねサソリ君」
「これ以外に言いようがねぇだろ。オレらが砂に奇襲したときみてぇに突っ走られても困る」
一拍おいて何で知ってるんだと過去の愚者っぷりに顔を赤らめ問えば、今度はテッカンとマタンからのリークだと茶化すように鼻を鳴らした。
そんなサソリの舌打ち癖がナマエにもうつってしまったのか大きく音を鳴らすと頭を抱え込み、身悶えたのだった。


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