宝石とさよなら | ナノ


▼ 509



何事もなかったかのように部屋へと戻っていたナマエとサソリは我愛羅たちがいつ部屋に帰って来てもいいようにと雪焼けの手当も済ませ部屋を暖めていた。
傀儡で影武者すら作らなかったが大事になっていないところを見ると侍たちは訪問してこなかったようだ。
先の戦闘でかなりの死傷者を出したし仕方がないと言えば仕方がないのだろうが、やはり影ではないからと警備が軽めなようだ。おかげで無事に任務を遂行できたのだからその点だんまりを決め込むが。
ナマエの動きが鈍くなっているのは単純に疲労から来るものとチャクラ切れを起こしかけていることが原因だろう。
仮眠でも取っておくか?と頑張っていた弟子を労り、また嘘が下手なナマエの言動で我愛羅に変に勘ぐられないようにするため尋ねたサソリに素直に頷いたナマエが押し入れの中から適当な毛布を引っ張り出して寝ころぶ。

「……だめだ、興奮して眠れない」
「何やってんだこいつ」

思わずガキかと突っ込むとげんなりと肩を落としたサソリがチャクラの少ないナマエの代わりにとチクマの通信を請け負っていたのだが、その波長が乱れたのを感じ取り、ナマエを気遣い口にせずにチクマに安否を確認する。
砂は自分とデイダラが襲ったから今の暁にも用はないとは思うが、そう考えたサソリを察したのかチクマがガリガリと丸薬らしき硬さの物をかみ砕きながらああ、と答えた。

「襲撃とかじゃないから安心して。アンタたちの方はもう通信しなくて大丈夫だから切るよ」
「……、わかった」
薬漬けで廃人になるなよと軽口をかわし、チャクラの放出を止める。
急に黙り込んだのに作業すら開始していないサソリを見てナマエは首をかしげたが、「砂へ帰宅する速度はお前次第なんだぞ」と誤魔化して躱されればナマエはおとなしく目を瞑るしかなかった。


_



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -