宝石とさよなら | ナノ


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「……テッカンは多少人数が抜けても問題なく動くよう警備を見直してくれ、シュデンは木の葉から要請が来てもいいように部隊の配備を」
その声を聞くが否や御意という答えをする時間も惜しむように姿をかき消した二人を目で追うと、我愛羅はさらに直立不動で待っていた伝令に木の葉から早飛脚の鷹が来たら一番先にシュデンに伝えるようにと託ける。
持ち場へと戻っていった彼らを見送り前に顔を向けた我愛羅の耳にもしその予測があっているならばここで恩を売っておくほうがいいのではないかと一人から声が上がる。
伝令の時に少しスペースを空けていたらしく我愛羅の隣に移動したチクマがピクリと眉を動かしたものの口にまではしないようだと察したバキが「あちらの方が保守派が多い、下手に動けば揚げ足をとられかねないから公式な文書が来るまでは動かないでおくのが無難でしょう」と代わりに返した。

我愛羅も狙われているのが友人だとわかっているし、本当は大事な時に自由に動くことのできないこの身がとても歯がゆいのだ。
何度も何度も自分を助けてくれた友人を守るために今できることをやるしかない。
少しの間をあけ己の中で結論付けただひたすらにナルトの身を案じ耐え忍ぶ我愛羅の背を凝視するナマエにいくつかの上役の視線がいったところで、サソリが肘で小突いて正気に戻させる。

五国会議に連れていく……つまり里の代表が平和ボケしているただの小娘じゃ格好がつかない。いくらチクマが舌を動かしたところで不穏分子のレッテルを剥がされることはないだろう。
今まではこういった会議の場に出ることがなかったため我愛羅が私事を切り離して里一番に考えていただなんて知らなかったと子供の成長を思わぬところで知った気分にさせられていたナマエは半開きだった間抜けな顔を片し最後に口を閉じて意識を卓の中央部分へと向けた。



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