宝石とさよなら | ナノ


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自分より何倍も物知りである千曲のお墨付きがもらえたので、とりあえず警戒を外し先ほどまでの言動に対し申し訳なかったと謝るナマエに、わかってくれればいいんだとほっと胸をなでおろした。
こんなところで同盟国と対立の火種を燻ぶらせただなんて知られたら綱手の拳が飛んできかねない。むしろ拳一発で済めば幸運だろうと自来也は内心冷や汗ものだった。
脳裏に浮かんだ骨折の記憶を振り払うように話を戻させてもらうと前置きし、再び先ほどと同じ質問を投げたが今度はナマエも素直に口を開く。
「先に一つお願いがあります」
少し視線をそらし足元を見るナマエから目を外さずに自来也は黙ったまま話の続きを促した。
「木の葉で保護されていた時に一度その人の元に拉致されたことがあります」
よく覚えていないので何をされたのかはわからないが、おそらく腹を開かれたようだ。
貴方も風の噂で聞いているとは思うけれど、私の身体は少し特殊なので素直に帰してもらえたところから見ても研究材料の採取をしたかっただけだろう。
自分でもダンゾウという名を聞くまですっかり頭から抜け落ちていた些細なことだというがそれでもお世話になった人のために秘密にしたいのだと自来也へ語る。
岩宿の大蝦蟇?を出たらこの話は聞かなかったことにしてください、終わったことなので……。と懇願するナマエに了承の意を伝えると、少し眉根を寄せ顎をこすった。
「このタイミングで狙われていたということは……なあナマエ、あの場では言わなかったがお前さん……結構頻繁に大蛇丸と会っていたのではないか?」
「……やっぱりバレますよね、その通りです」
自分の内臓を定期的に渡す代わりにこの身体の使い道を模索していましたと頭をかくナマエに大蛇丸との接触は褒められるものではないが、どうせ無理やりになるくらいなら取引していたほうがこの娘にとってはマシかと考えうなる。
あえて自分の元に置かずに砂に置いているのは国際情勢の情報収集先にするためだろう。何しろ風影が溺愛する人物を人質にとれるのだ。
自分たちの負担を増やさず出来る限り少ないデメリットでと考えれば確かに自分もそこに行き着いたし他国の話に干渉するほうが野暮だ。
そしておそらくダンゾウと大蛇丸は繋がっていて、大蛇丸経由でナマエの欠片を手に入れていた可能性が高い。
良くも悪くも大蛇丸は綱手ほどではないが医療忍術をたしなんでいた。それが人体実験のためでいようがナマエをうっかり殺してしまうことはないだろう。
ただ、何の理由なのか知らないが触るのがダンゾウということになると、うっかりナマエを殺しかねないだろう。そうすれば木の葉との全面戦争が始まってしまいかねない。
「接触するなら帰りだな。よし、ワシもついていこう」
ちょうどチクマに伝えておきたいこともあったしと提案する自来也にナマエは自分が期待見なかったのではというもやっと霞がかった気持ちを押し込めた。



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