宝石とさよなら | ナノ


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卒業と共に自然消滅した高校時代と新卒後の忙しさにちょっとしたことから別れた大学時代の彼氏の話を軽くしただけだが、興味津々だとばかりの表情を顔に張り付けたテマリちゃんが相槌を打つ。
少しニヤついているのは決して気のせいではないだろう。恋バナと修羅場話は例にもれずに蜜の味ですねわかります。
まあ……特別なことは何もない。年齢だって違っても二歳差だったし普通に恋愛してお互いに忙しくなり連絡が取れなくなってどちらともなく切り出し別れただけだ。
大恋愛などしてないし一目惚れも起こしたことがない。理想が高いわけではないはずだ。
冷めてると言われればそれまでだが無いものはないのだ、仕方ないじゃないか。

脳内で茶々を入れに来た自分自身と静かに取っ組み合いを始めたナマエの横に並んで走るテマリがやっぱり弟たちがいなくてよかったと唸る。
我愛羅は自分がその位置につくことが出来ずもどかしさに焦燥している節があるし、もしその付き合ったという男が共に落ちて来ていたら手が付けられないほど暴れていたかもしれないなと想像し、少し青ざめ仰ぎかき消した。

ふるふると首を振るテマリに怪訝そうな顔を向けたナマエだったが、大したことではないだろうと判断し今度は自分の番だと彼女に質問を投げた。
「ところで、いきなりそういう事を聞いてきたってことは、テマリちゃんのコレなの?」
「いや、そんなんじゃない。本当にただの腐れ縁なだけだ」
一緒にいて居心地が悪くなったことはないが……そうだな、ライバルと思ってもらってもいいと顎を擦り唸ったテマリちゃんをちらりとみやる。
先ほどまで女の子なのだと思っていたがこれは男なのではないだろうか。
何処のどなたか存じませんが結構な脈アリじゃないですか……。
緊迫した情勢のさらに詳細を把握するため自来也という人物に会えるように鷹を送ってまで向かっているのに自分ときたら、護衛としてついて来てもらった彼女の腐れ縁と対面する方ばかりに気が向いてしまっている。
やばいな、これはおばさん化して来ていると少し危機感を持った私はそれ以上追及するのをやめ少しだけスピードをあげた。


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