宝石とさよなら | ナノ


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一般人たちはみな上がお金を持っていると思っているようだが決してそうではない。少なくとも砂隠れは贅沢は出来なかった。
大名たちが財布のひもを締めている為こちらに回ってこないのだ。行楽には使うから他国に流れて行ってるのも問題である。
父さまの時代はまるで錬金術師のように湧いて出たからあまりそういう思いはしなかったと思う。甘やかされてご機嫌撮りつつ育てられたオレの周りにも玩具が転がっていたのを覚えている。
父さまのようなことのできない今、ありがたい申し出ではあったがナマエ頼りの里運営をしなければならなくなっているのは実に情けなかった。
まあ、それでも忍は命を懸けるからそれなりに給料は良いのだが。
カンクロウは傀儡に給料をつぎ込みテマリはたまに女友達と休暇を取って小旅行に行っている。
術に手入れもいらない、趣味も友人もないから自分だけ倹約をするつもりはなくともそれなりにたまっていたのだ。
ナマエの為だととっておいたものの彼女もまた趣味もおしゃれも遠慮しているのか興味をもたなかった。
だからナマエにせめて美味しいものを食べさせてやろうと、ついでに一般人たちに金が回る様に出前やら外食やらと頼みまくっていたのである。これはチクマしか知らない為定期的にシュデンに心配されている。

今日は何処の定食屋に連れて行こうかと悩みながら午前の業務を時間内に終わらせるためにバリバリ筆を走らせていた我愛羅の耳にドアをノックする音が入ってきた。
少し期待するもシュデンがお茶を淹れて来てくれただけだった為内心肩を落とす。
ナマエかと思った、なんていえばシュデンはあからさまに敵意を示すから口にも顔にも出さない。
何故か仲の悪い……いや、一方的にナマエの事を嫌っているらしいシュデンに礼を言い湯呑みを受け取る。
金もそうだが個々の問題も片付けなくちゃいけない。ナルトやリーが言う“チームワーク”というものが乱れているし。

知識として単語を知ってはいてもいまいちどういうものなのかわかっていない我愛羅にシュデンが一つゆったりと瞬きをし、顔布の下で口を開いた。
「あの、我愛羅様」
本日のお昼を一緒に……と口に仕掛けた所でタイミング悪く入ってきた人影に口を噤んだ。
いつも通りキリリと少し釣り上がった目に戻し、執務室へ入ってきた影を認識しようと顔を見る。
「我愛羅君お昼のお迎えに上がりましたー」
ドアを完全に閉めると死角にいたシュデンに漸く気づいたらしいナマエがシュデンちゃんもどう?と聞いてきたが、それに対し顔布で唯一隠されていない両の目を細め不機嫌さを示すと「貴様がいるのに行くわけないだろ」と返し、ナマエの横をするりと抜け廊下へと出て行ってしまった。



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