宝石とさよなら | ナノ


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大きな問題もなく終わった中忍試験、少し消化不良なのは私が忍でなくて中忍選抜の会議に出れなかったせいでもあるだろう。
翌日大名と上役と、我愛羅君達が会議をしている間タンゲの面倒を見ることになったが親の前でなければそれなりに素直な子になっていて安心した。
今回中忍に上がったのはうちの里では状況判断能力が優れていたという理由でテッサちゃんが選ばれた。
仲間内から祝われ風影様から直接お褒めの言葉をもらい、それに悔しがりつつ祝うマツリちゃんたちの姿に苦笑したのも数日前。
通常業務に戻りようやくサイクルが安定し出したころ新作作りの為向かうかと思い立ち、休憩時間にシュデンちゃんに書類の束を増やされげんなりしていた我愛羅君へ「今晩帰りが遅くなる」と言う事だけを伝えたはずだった。


「……悪質だよなアイツの術は、生き物には強すぎる。ついでにこのガキも一緒に巻き込んじまえば良いのによ」
「フン、オレのナマエだから当然だな。まあできれば危ないことはしてほしくないと思わなくもないが」
それより貴方みたいなモノに対しあの術が効かないのが問題だとナマエと同じものを身につけた我愛羅がサソリの隣に立ち頭を振った。
「表出るか?」
「望むところだ、蚯蚓のように押しつぶしてやる」
「おいそこ何で喧嘩してんじゃん……」
移動して三分も経ってないぞと指摘する彼に二人そろって「してない」と凄めばそ、そうか……なんて吃りながらカンクロウ君が少し距離を開けた。


本日は非番だったはずの彼がここにいるのは執務室で偶然出会ったからである。テマリちゃんからまた報告書を押し付けられていたらしい。
それなりに私のお供として里を歩き回っているサソリだったがカンクロウ君と対面したのは大体話し合いの場かちょっとしたごたつきの中だった為話をしたことがなかったらしい。
各国に造形師として轟くサソリを物心ついたときから同じ道を先行く先輩として尊敬し、また演者としても、造形師としても尊敬していたカンクロウ君は話がしてみたかったのだと頼み込んできたため連れてきたので連れてきたのである。

業務終了後、総監督として自分を連れていかないと風影の仕事ボイコットするからともはや脅しの領域に来ていた我愛羅君と、まともに挨拶をしたのは初めてだという事で手土産を持ってきたカンクロウ君を連れ立って夜も更け中々に非常識な時間に工房に入った私達に一瞬怪訝そうな顔をするサソリ。
そりゃそうだろう言って無いもんな、我愛羅君は先日サソリに資金提供は自分なんだからと見学を直談判していたから違うだろうがカンクロウ君は吃驚したことだろう。
何せ我愛羅君が拉致られたときに毒殺されかけたのだ、傀儡師としては先輩ではあるが自分を気付付けた奴にわざわざ会いに来た理由が解らなかったらしい。
頭を下げ手土産を刺し出し礼儀正しく見学させてくださいと興奮からか少し上記した頬でサソリの答えを待つカンクロウ君に信じられないときょとんとした無防備な表情を見せた。
あら珍しいと、そう顔に出ていたのだろう。私をちら見した瞬間にスッといつもの表情に戻ったサソリが私に若干強めに「予備の装備渡してやれ」と告げ、工房の地下へと先に降りて行った。

「ええと……、あれは」
「良いっぽいよ、カンクロウ君今身体に傷ない?」
無いと答えたカンクロウにそれじゃこれだけでいいかと自分用として手に持ったのと同じゴーグル付きの防塵マスクを渡すといそいそと装着を始めた。
我愛羅君にも同じものを渡しているうちに荷物をおろし頭巾も取り、クリップボードを片手に準備万全のカンクロウ君の工場視察する本社の人間っぷりにマスクの下でちょっと笑ってしまった。中々似合ってるよ。


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