宝石とさよなら | ナノ


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働いてもらうならまあそれなりのお金を投資することもやぶさかではないと口にしたが、それにしたってこれはひどすぎると目の前でチクマちゃんは頭を抱える。
財政圧迫にも程があると嘆く上司だが、私は私で35歳のおっさんをいつもみたいに誑し込めとか言われたけどぶっちゃけ誑し込んだ覚えのある人はいないとまた別の事に頭を悩ませていた。
私が寝ている間に少しだけ殉職した姉の為に協力する気になっていたエビゾウ様が出向いたらしいがお手上げだとばかりに丸投げされてしまったし。
まあとりあえずは指定された材料を発注するため執務室となっていた会議室へと乗り込む。中では中忍試験の会場を少し変更すると文を書きまくっているマジュちゃんとオウメイさんがいた。

「おひさしぶりネナマエ」
「ええ、ご迷惑おかけしました」
我愛羅君が拉致されてから全く冷静じゃなかったと、仕事を丸投げしてチヨの後について行ったこと、チヨを救出できなかったこと等……、反省する要因しか見つからない数多の行動に頭を下げたナマエに彼らは仕方がないとバッサリ許した。
「子供がさらわれたら誰だって取り乱しますよ」
そう返してくれたオウメイ君の言葉はじつに暖かかった。

我愛羅君の方は死後硬直は蘇生してから徐々に解けていたらしいが、免疫と筋力が著しく低下しているとのことで自力で超時間経てないらしく入院である。
今頃木の葉のみんなに挨拶でもされているのだろうが、正直顔を合わせないで済みそうなのはありがたかった。流石に自分の事だ、まだ私は笑顔で迎えられる状態じゃないと理解している。
お帰りはもう少しだけ先延ばしにさせて欲しいと遠目に見た狸を思う。

「まあ、ナマエをここに連れてきたのは今後の話し合いしたかったからなんだけど」
良いかなとチクマちゃんが開いていた椅子に腰かけそう部下達に話を促す。
各々進めていた手を止めそれに頷くと、近くにあった椅子へ着席し、隊長の言葉を待った。
「ええ、では現状確認から。例の爆撃魔による被害状況の方はほぼ確認し終え……」

たった数日仕事で顔を合せなかっただけなのに、べらべらと続く彼女の言葉の羅列が随分と久しく感じる。
忍という職業は何でもやと言えば聞こえはいいが、中核は軍隊である。
上官命令に逆らい飛び出して行ったりと結構なことをやらかした覚えがあるが彼女たちはだからなんだとばかりに私を業務につかせているのがなんだか不思議だとナマエは要点をまとめながら考えていた。

すっかり解毒薬の投与を中断してきたことを忘れ深い深い話し合いをしていれば、マタンさんが息を切らせながら「寝ろ!」と叫び駆け込んで来たのだった。


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