宝石とさよなら | ナノ


▼ 248



診察を受け万全の体調を整えたナマエはスクラブを着たマタンに手術室まで連れてこられ説明を受けていた。
騒動を起こした大名はここ風の国に多額のお金を出している政治家のような存在らしく、咎める事が出来なかったらしい。
さらにはナマエが切り取って渡してやった内臓だが、すぐに手術をしなかったのと保存状態が悪かったという理由で萎れ使い物にならなくなっていた為に、回復した臓器を再び手術に使うと数日前と同じことを確認される。

正規の手続きを取れば私に拒否はできないのになんて馬鹿なんだろうと内心あきれ返っていたものの、マタンさんの「あまり忍が好きじゃないんだ、大名って奴らは」という言葉に喉まで出かけた不満を押しとどめた。
そういう事だったのか。早急に知っておかなくてはならない国の作りなどを調べ、“大名と影は相互関係であり、対等である”と記載されていたはずの本はただの表面だけだったと理解した。
何処の国でもそういう物になるわけだ。差し詰め口答えをする生意気な兵器という事なのだろう。
自分をこの里にとどめる為に大名と何度も話し合いの場を設けたのだと、見舞いという名の仕事からの脱出を試みたチクマちゃんからも聞いたし。
根本にそういう考えがあるならすぐに考えを変えることはできないだろうし、それなら……。
ナマエはカンクロウから話をちょろっと聞いたんだけどとカウンセリングまでしてくれたマタンに呼びかけた。
まだクライエントが到着していない為準備まで終えたマタンさんも暇をしているみたいだし。
昨日の続きなんですけど……、そう言ってベッドに座ったままマタンを見やったナマエが「私が対等になればいいんじゃないか」と自分を納得させるような言い回しで音にした。

「マタンさん、しごいてくれそうで引退している忍を教えていただけますか?」
「何をするつもりかは聞かないけど、力を持てば君は一般人じゃなくなるよ」
「それでいいんですよ」
兵器である立場の人達に人と認められるには、自分も兵器になればいいのだ。
健康の為なら死んでもいいと同じ感覚を覚えるナマエの言葉だったが、彼女が病んでそれがあの三姉弟に波及するよりはいいかと「ほどほどにね」とだけ返した。



_



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -