宝石とさよなら | ナノ


▼ 99



我愛羅君は火影邸へ向かってる間は定食屋のように振る舞っていたが、どうやら目の前にいる綱手様はそれなりに気心が知れているらしい。さっき見せたからもう風影の顔しなくていいってことなのかい仔狸よ。
そして綱手様と呼ばれてたから私もそう呼んだけど火影様だったんですね。私は病院の婦長か何かだと。そしていい乳だと思います、若いし。
「ナマエ、口に出てるぞ」
「えっ」
急いで口を瞑る。本当だ中途半端に開いてやがったこの口め!
そういうのはもっと早くとめてほしかった。苦い顔をしながら綱手様の横にいたシズネさんと言う方に持ってきてもらった椅子に座る。
目の前の綱手様が機嫌が良くなったらしく顰めていた顔をほぐし笑った。よ、よしなんだかわからないが結果オーライ。

「しかしあの、私が会議にいてもいいんでしょうか……」
「ん?まあ昼間に機密の話は終えてるし人払いもしてある」
護衛すら連れてないところを見ると我愛羅も人払いしたんだろう?国の話だったら我愛羅の他にも重役を呼ぶし、こんな狭いテーブルではしないな。
今からはほぼお前の事だから本人がいてくれなきゃ困る。と綱手様はシズネさんの淹れてくれたお茶を啜った。

「オレが、砂が引き取る」
「そうさせてやりたいところは山々なんだがあいにく上層部の方が興味を持っていてな」
それも悪い方に、と少し肩を竦めた。
「砂からの刺客、間者なんじゃないかと疑われている。拷問には強いようだしな」
医療忍術のできる私らから見れば不自然なところがあるからそのあたりは信じていないが、と語る綱手様にピクリと我愛羅君が反応した。
「拷問に強い、とは」
「コイツは覚えてないみたいだが、爪を二枚ほど剥させてもらったんだ」
思わず両手の指先を見る、いつも通り私の爪だ。痛みもなければ血も出てない。
ああでも骨折したときみたいにやってもらったんだろうなと一人納得した。病室で言っていた拷問もこれの事だったのか。

「ナマエ、腕を貸せ」
隣で我愛羅君が手を出してきたので近い方の右腕を差し出す。ザクリなんてクナイが突き立てられた。
「ちょっと待って!我愛羅君酷くない?」
「痛みは!」
眉はないがあったら確実に吊り上げられている我愛羅君の顔を凝視する、先ほどより声量をあげて「痛みは!」と聞くのでないですと返した。でも我愛羅君せめて行動の前に口で言おう?
途端に悪かったと悲しそうな顔で謝られ、椅子を貰ってからも待機していたらしいシズネさんが後ろから術を掛けてくれる。おおすごい塞がってく。

「今見てわかっただろうけど痛覚が完璧にないわけではないらしいがひどく鈍いんだ」
これが異世界から来たことによるモノなのか、人為的なものかは解らないが。まあこちらは怪しんでいる訳なんだよ。
ひと月木の葉が囲う、上が黙る程度に洗いざらい調べさせてくれ。その間に通行書も作ってやろう。
「どうせお前が連れて帰るにも一緒に出られないしな、里外に出る場合の規約の例外はない」
それはお前のところも同じだろうと返され、我愛羅君は膝に置かれていた拳に力を入れたようだった。


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