斯く言うお前も | ナノ


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チャクラ不足により気絶した私だったがはっと気づき体を起こせば目の前で白黒頭の少年が視線をかち合わせた。
結構眠っていたみたいで少年の足は時間経過による複製が終わっていたようである。色が違ってちょっとかわいそうなことになってしまったが日焼けでもすれば数年後にはそのちぐはぐな感じも治るだろうと適当なことを考える。
足まで完全に元の形に戻った少年は、隙だらけだった私を刺殺し逃走する事なくただただ甲斐甲斐しく世話を焼いてくれていたらしい。
表の木と木の間に古臭い形状のクナイを挿し、ロープか何かを使って血濡れだったタオルの洗濯までしてくれていた。
仰向けだった私は起き上がり額から落ちてきた湿ったタオルを手に目の前の少年にあー……と寝起きの掠れた声で喉を慣らしてから尋ねた。
「放置して帰ってるか私の事刺してるかと思ったんだけど、どういう事かな少年?」
「胸の傷まで腕とか足とかと同じ色してたし治してくれたのくらいオレだってわかるよ!」
恩人は無下にしちゃいけないって父上から教わってるもんとふくれっ面で馬鹿にするなとばかりに答えてくれた。
その子供らしいむくれ顔に思わず頭を撫でてしまったのは仕方ないと思う。


「さて少年、聞きたいことはいろいろあるだろうけどまずは自己紹介からしようか。私はミョウジナマエ。風の国に住んでる」
「えっと、オレは千手板間。で、火の国の千手一族の隠れ里に住んでる……、随分と遠いところから来たんだねお姉ちゃん」
何しに来たの?偵察?風の国も戦争すごいって聞いたけどとマシンガンのように質問を飛ばしてくる板間君に待て待て待てと制止をかけた。
私の知る風の国は戦争なんてやってない。表向きは、だけど。
岩隠れとは未だに亀裂が入っているし休戦だから再開しないとも言い切れない。一定数の犯罪だの殺しだのはあるだろうがそれでも確かに戦と呼べる争いは近年起こっていないはずだ。
情勢に相違があるのだがもしや彼は辺境の……情報が入りにくい離れた里の人間なんだろうか。
「うーん、火の国ってことは木の葉隠れの里は知らないかな?」
とにかく綱手様に相談すれば通行証が無くても滞在は許してもらえるだろうし連絡が取れれば我愛羅君が里を出るために必要不可欠である通行証を持った迎えを寄こしてくれるだろう。チクマちゃんの通信が使えない今同盟国の鷹を使うしかないし。
少年くらいの子供でも木の葉は砂隠れよりでかいから名前くらいは聞いたことあるんじゃないかと踏んでそう問い返したのだが、板間君は一族が集まったでっかい里だなんて無いよと首をかしげた。
ンン!板間君の話でちょっと頭を過ってしまった考えが当たってたらヤバいことになったぞと口を開けずにむぐむぐと動かす。
我愛羅君が板間君くらいの年齢だった時に読んだことがある歴史書を再び頭の中でバラバラと捲る。
詳しいことはおぼろげながらも板間君の使っている古臭いクナイだのなんだのと話しを照らし合わせればやはりそれしか考えられなくて頭を抱えた。
私の生まれた世界のままだったらこんな考えが浮かぶことはなかったんだけど、チャクラで割となんでも出来る世界で、しかも私は二度も異世界を渡ってしまっている。
少しだけ柔軟になってしまった頭を振りかぶり否定すると気分を変えてご飯にしようかと高らかに提案した。


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