企画 | ナノ


▼ 高く低く


「チョウジ!」
任務返りに毎度の打ち上げ場となっている焼肉Qへの道を歩いていれば、脇から飛び出た見慣れた影にひき逃げされない様避けるオレ達3人。
飛び込んできた影を唯一避けずにいたチョウジがよろけもせずにただいまと抱きとめる。
相変わらず猪突猛進なナマエにオレたちはそれぞれ生暖かい視線を向けた。
この中で一番遅くナマエという存在を知ったアスマも部下の一人にじゃれる妙齢の女性にまたかと苦笑いする。
ただ2人ともお互いそういう意識を全く持ってない、それはそれで心配にもなるのだが。

「んー、この抱き心地たまりませんなぁ」
3人の目の前でチョウジの肉付きのいい腹をナマエがうっとりと揉みしだく。
事案だ、知らない人がいたらそう叫んでいたかもしれない。
だがあいにくここらでちょっとした名物を通り越し日常となっているシーンにわざわざ口を開く人間はいない。
惣菜屋のナマエと秋道家のチョウジがスキンシップの激しい友人なのは周知のとおりである。
通りを歩く人間も視線をちらりとやるだけでそのままみんな通り過ぎる。

「そういえばナマエ何の用なの?」
「あ、忘れてた。ジャーン!」
チョウジの腹が一向に喋り出さないナマエに痺れを切らした為、全身で肉を堪能するナマエに聞き返す。
うっかりうっかりと額を叩くとポケットから紙切れを一枚取り出したナマエ。
「ヘイヘイヘイ、みんな任務お疲れさまでしたー!」
「やったー!ごちになりまーす!」
にひひと手元の焼肉無料券をひらひら見せびらかし笑うナマエに4人で……特にアスマは直角になるほど深く頭を下げたのだった。




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