企画 | ナノ


▼ 海老が鯛を殺した話


「お前ら女ってのは子供何人位欲しいんだ?」
「どうしてそれを私達に聞いたのかなシカマル君」
直接テマリちゃんに聞けばいいじゃないと細長くて小さい匙を咥え善哉パフェを楽しむナマエが疑問を投げればそれが出来たらこんなカカア天下にはなってねえんだよと机に突っ伏した。
どうやら嫁入りしたテマリちゃんの尻に敷かれているらしいシカマル君、その姿が容易に想像できてしまい苦笑した私はそうだなぁと顎を撫でる。
「三つ子とか可愛いよね、全員を一緒に抱いたときの充足感半端なさそう」
「三つ子限定かよ……」

子供が出来たら洋服とか送るから抱かせてくれと親指を突きだして拳を握ったナマエにそうだコイツ天然なんだったとため息をつけばナマエの隣にちゃっかり陣取っていた我愛羅が頑張るからなと公然…というか甘味屋の一角でナマエに向かってセクハラで訴えられかねない返しをしていた。
だが我愛羅の真意をくみ取ることのできなかったナマエは「我愛羅君も抱かせてくれるの?まじか、冥利に尽きるわぁ」と喜んでいる。違うそうじゃない気づいて。
「ナマエが望むならオレはいくらでも……」
「ストップストップ。ちょっと我愛羅は黙っててくれ、話が煩雑化するから」
財力に権力にと、いくら子供を産んだところで問題になること等ほぼない男の意見は聞いてないので黙っててくれ。

一人っ子だった自分ではわからない事は多い。たとえば兄弟が多いと妻は下の子の時に楽が出来るだの…良く聞くが本当かはわからない。
数によって貯蓄を増やしたりと、まあ男には妻の負担を軽くしてやるためにも準備しておかないといけない事がいろいろあるわけだ。任務の程度とか特に。
同期に聞けばいいだろうと思うだろうがすでに聞いてあるし、聞いたところであれだがイノやサクラが一般人だとは思えなかった。
……だがあいにく人付き合いをめんどくさがってきた自分には親しい一般人女性も少ないし、そういったことを聞けるような人間なんていない。
そこでちょうど今自分が砂にいたことを思い出した後に浮かんだ名前のナマエに白羽の矢がたったわけだが、ナマエもまた一般人とはちょっとずれていたのをすっかり失念していたのであった。

「まー私は子供好きだし三人かな、うちの子たち本当に可愛いし囲まれた時の幸福感は何物にも代えがたい」
抱きしめる腕の長さにも限度があるし私が子育て出来そうな人数はそれくらいかな。
なるほど、抱きしめられる範囲が限度ってのは目から鱗だった。うん、二人か三人だな。シカマルは用事があって遅れていたテマリの姿をナマエの背後にとらえると「よ」と手を挙げ歓迎した。

「私はナマエみたいな女の子がいいな」
自身の弟に静かに目線を向けながらそう吐き捨てたテマリに我愛羅は目を細めて煽る。
「テマリからはナマエみたいな女児なんて天地がひっくり返っても産まれな…いった!」
そうやってすぐ手が出るところずっと変わんないし絶対無理だな、諦めろ!というかナマエみたいな子が生まれたら忍としては生きていけないからな、割とどんくさいところあるし大名より平和ボケだし。チクマに教育してもらったが完全に抜けきらなかったし、いやナマエは一生オレが守るからいいけど。

シカマルは呆れた、テマリへの悪態をついていたと思えばいつの間にか惚気だしてきた風影に。
こいつ俺らとマジで同期なの?俺らの世代色々酷すぎるのでは?
イノ然りサクラ然りナルト然り、出会えば惚気を繰り出される。木の葉に春が来ていた。だが残念ながら自分の先ほどまでの相談内容を換算していない時点でシカマルも同類である、気づいていないが。
ぼーっとその様子を眺めるシカマルの目の前でまーだ姉への悪態とナマエへの惚気を器用に同時に並べ立てている我愛羅。
風影になってから必要に駆られ半ば強制的に…饒舌に舌が回るようになった我愛羅へテマリの二度目の鉄拳と顔を真っ赤に染めたナマエの頬をつねる攻撃が落とされるまであと2秒。




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