企画 | ナノ


▼ 七星天道


「ナマエ、はい」
「ありがとう我愛羅君」
ぱくりとスプーンを咥え両頬を抑えるとギュッと目を瞑り花を飛ばす。
女は甘味が好き、テマリやマツリに教えられ連れてきたが正解だったようだ。
ナマエが顔を綻ばせるほどのブツだ、きっとうまいのだろう。そう考えひんやり冷気を放つそれを同じように自分の口に運ぶ。
濃厚なバニラエッセンスが鼻孔に届き、少し甘いと我愛羅は眉間にしわを寄せた。アイスはナマエに食わせよう…。
追加で注文しておいたみたらし団子を食べ、我愛羅はナマエの口が開いたのを確認するたびに次の一口を隣で差し出す。
溶けかけたクリームが口の端から零れアイボリーの雫を描く様を目ざとく見つけ、反応しかけた下半身を抑え、長椅子に備え付けされた洒落た紙ナプキンで拭ってやる。他里で、真昼間から醜態を晒すわけにはいかない。
特筆して書くことも無い一般的な顔であるナマエをそばに置く理由を不思議がる忍も多いが、他人にはわからない愛らしさを自分が独占しているのだと思えばこれほど心地いいことはない。
風の国でもアイドルと呼ばれるような人種はいるし、モデル業をやっている人間だっている。それらに比べれば外見は競争率が決して高いわけではないと贔屓目をかけていても思うのにやたらと人を誑しこむナマエの手腕には呆れを通り越し尊敬まで行きそうだ。
だがこれ以上敵を作らないでくれ。頼むから。口から出ないだけでかなりの独り言を捲し立て、集まりだしていた血液を分散させた我愛羅は深く深呼吸をし見知ったチャクラを感じる方へと顔を向けた。

「おっすナマエと我愛羅」
「うっすキバ坊に赤丸君、それにシノ君とヒナタちゃんもこんにちは」
「オレだけ変な呼び名にしないでくんない?」
むくれるキバにわはは君はからかい甲斐があるなぁ!と軽快に笑うナマエが頭に手を伸ばしてフードごとわしわしと撫でる。
若干の嫉妬心を膨らませた我愛羅は後ろのシノとヒナタ、それと奴の愛犬にのみ挨拶を返してやるが構われているキバは小さな嫌味には気づかなかったようだ。
どう止めさせようかと次の手を考案しにかかった我愛羅を等閑に、セットした髪がと言いつつも嬉しそうなキバの胸元からひょっこりと顔を出したソレにナマエの手が止まる。
「わんこだ!」
「お、目敏いなナマエ」
クリーム色のふわふわとした毛玉に目を輝かせたナマエを見てジッパーを引き子犬を取り出したキバがふふんと鼻を鳴らしナマエの膝に乗せてやる。
ゆったりと出した拳の匂いをかがせればペロリと指を舐めた子犬が膝の上を跳ねてナマエの顔を見上げる。
「おぉぉ…、めんこい…めんこいぞぉ!」興奮するナマエが先ほどキバにやっていたようにもしゃもしゃと赤丸よりは毛足の長めな子犬を撫で摩りはじめた。
気持ちよさそうに自ら擦り寄っていく子犬に少し口元を歪めた我愛羅が根負けし、キバに何の用だと話しかけた。
「オレ達今さぁ、この子犬を飼ってくれそうな奴探しててさ。お前らがここにいるってナルトから聞いたからよ」
来たってわけか、ナルトは相変わらず口が軽いなと額に指を置いた我愛羅にそういう事とキバは笑う。
どうせなら知ってる人に貰ってほしい、なぜなら後味が悪くなるような人間に譲りたくないからだとキバの言葉に付記したシノに、さらに隣にいたヒナタが頷く。
犬なんて飼ったらナマエが今みたいに構ってくれなくなるじゃないか……。我愛羅は嫉妬の炎に薪をくべつつも冷静な自分を取り戻し答える。
信用されてるのは嬉しいが長毛種を砂漠で飼うのは難しいんじゃないか?もっともらしい理由をあげるも「風影邸なら空調管理はしっかりしてるだろ?」とあけらかんとした顔で言われまあそうだが…と黙り込むしかなかった。
「それで、あの……、ナマエさん貰ってくれる?」
ヒナタの追撃に頷きかけたナマエが背中の違和感に首を横に振って子犬をそっとキバの腕の中に戻す。
「ごめん、うちはもう狸飼ってるから」
「だから言っただろ」
シノの冷淡な返しにキバはしょんぼりと口を尖らせながらも「じゃあ次の奴らに当たるか」と手を振りさっさと目的の人物めがけ歩きだした。
それについて行くシノを見、慌てて振り返り頭を下げかけたヒナタが少し目を見開いて頬を染めた。
お邪魔してごめんなさいと謝るヒナタにナマエがいいのよ、今度どこか行こうねと間延びした別れを口にし手をひらひらと振った。

「我愛羅君、服のびるし肩重いからね」
「……放すから構ってくれ」
背中を摘まんでいた指は外されたが肩に乗った頭が退くことはなく、初心なヒナタちゃんには悪いことをしたと心の中で謝ったナマエはハイハイと我愛羅の頭をもしゃりと撫でた。





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