企画 | ナノ


▼ それとこれとは別の話


人肌が温く心地の良いものだと知ってから早数年、嫌われたくないからと自制していたが正直そろそろ限界だった。
馴染んだナマエから香る石鹸の匂い、風呂に浸かって上気し赤みがかった肌。
同じものを使っているはずなのにこうも違うのはなぜなのか。その柔い肌に手を滑らせた。もちろん砂の鎧は纏っていない。
直に伝わる感触に寝巻のスウェットをまくる。肉付きの良い肌が吸い付く様に少しだけオレの指を沈ませた。
ナマエが一度異世界に戻ってしまって唯一良かったことは歳の差が縮まった事だ。
一生追いつくことの無い差が8年も縮まり、成長したオレにいまだに戸惑うナマエ。まあ聞けば彼女の世界ではまだ半年しかたって無かったらしい。
同年代の奴等より栄養を取っておらず一回りほど小さかったオレが今やナマエの身長と大して変わりなければああいう反応にもなるだろう。
駄々を捏ね、騙し騙しでナマエに引っ付いているけれどいつ親離れをしろと言われるかわかったもんじゃない。
……オレもいろいろなことができるようになった。そうだ、既成事実を作ってしまえばいいのではないだろうか?そうすれば離れなくて済むのでは。
非道な考えが脳内を巡り、ごくりと唾を飲み込んだ我愛羅はリスクを天秤にかけ、最終的に腹を撫でていた手をさらに奥へと潜り込ませた。
ナマエの上半身に這わせた平の肉が双丘を捉え、思わず顔を寄せた時だった。
我愛羅の髪の毛が肌をくすぐり違和感に薄目を開けたナマエがぴたりと動きを止めた我愛羅の頭部を見る。
出しかけた舌をこっそり仕舞い口を閉じると様子を見るために少しだけ上へと視線を向ける。

「寝れないの?」
随分と間延びした声で尋ね、途中から欠伸まではじめてしまったナマエは目尻を擦り指の腹で涙を拭った。
ぐぐりと伸びをし顔面が肌に密着したが、寝巻の中に頭を突っ込んでいることは気づいていないらしい。そういえばナマエは寝起きがさっぱりする方ではなかった。
彼女の習性に感謝をしつつ、まだ夜だと誤魔化す様に告げれば起きようともぞもぞ動いていたナマエが時を止める。
じゃあもっかい寝るわ、お休み我愛羅君。そう告げると彼女はくわりと再び欠伸をし剥ぎ取りかけた布団をまた腕で手繰り寄せた。
自身が子供の頃“おーえる”というものになってからはだらけて日々を過ごすのが趣味になったと自己紹介されたのを思いだした我愛羅の頭を抱きしめ、んふふと満足そうに息を吐き出し一言零してから再び睡魔に身をゆだねて行った。

「抱き枕温い、か」
ぎゅうと頭を押し付けられより密着したナマエの脂肪の感触にどう抜け出そうか思案していた我愛羅は諦め脱力した。
……自制するのも結構大変なんだが。己の下半身に集まりだしていた血液をどう分散させようか。
我愛羅はため息を一つつき、先ほどまで抜け出すこと考えていた頭を再び回転させた。




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