企画 | ナノ


▼ 赤と緑のサインポール


ナマエがエプロンを外し、洗濯機の中に先ほどまで身に着けていたその一枚を放り込んだ。
オレの仕事を待ち始まった為既に22時を回っている。人数は2人とささやかながらも立派なクリスマスパーティの始まりだ。
ワンピース型のサンタ服を着込み自室から飛び出て来たナマエがノリノリでどうよと迫る。
……だがどうして髭まで付けた?
「これははずせ」
俺が口元にテープで引っ付けている白いひげを外せば「えー」と不満そうに口を尖らせた。台無しだから。本当そこまでしなくていいから。
まあいいや、じゃあこれは我愛羅君ね。そう言って角のついたフードをオレに被せてくる。
最初はあまり乗り気ではなかったものの、ナマエに可愛いと連呼され抱きしめられれば悪い気はしない。
子供扱いをされている感が否めないがこれもまた一つの愛し方だと思えば指は勝手にフードの紐を手に取っていた。
帰りがけ頼まれ買ってきたローストチキンを皿の上に乗せ、テーブルの真ん中へと置いた。
きゅぽんとコルクを抜きナマエがオレの前にあるグラスにリースリングをこぽこぽと注ぐ。
炭酸の気泡が白い水面に浮き上がり芳香が鼻孔をくすぐる。

それではっ。えへんと喉を鳴らし一拍置いた。赤と白のコントラストで自分を引き立たせたナマエが椅子へと座りグラスを手にこちらへと掲げる。
「今年も可愛い我愛羅君と一緒に居られました、サンタさんありがとーう!」
同じようにグラスをあげてやったが忘年会を兼ねてないだろうかこれは。
ちょっとお高いスパークリングを買うために禁酒をしていた彼女はそんなこと一切気にせずようやくアルコールを摂取できると意気込む。
発泡酒のごとく喉を鳴らしだしたナマエにカメラを向けた。

後でからかってやろう。




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