銀土/素敵企画「PLAYTHING」様提出
「……どうしたの、今日やけに積極的ー」
「……別に、」
本当は知っている。しかし確かな証拠が欲しかった。まあ、本人の口から聞けるとはこれっぽちも思ってなかったけど。案の定聞けなかったけど。
(……増えてる)
背中のキスマークと、煙草を押し付けられたような赤黒い傷。彼は気付いていないらしい。しかしそれらは確実に着実に数を増やしていて、紛れもなくその行為が継続していることを証明していた。
(……辛くないのかな)
いや、辛いから俺に抱かれに来てるのか。俺の前以外では泣けないから俺に抱かれに来てるのか。
(……なんか、俺のほうが辛い、わ)
「……帰る」
「え、あ、そ、そう」
キスマークぐらい気付けよとか、それぐらい断れよとか、そんな仕事するぐらいなら真撰組辞めちまえよとか。言えたらきっと楽なのに、言えないから今日も俺は辛いのだ。
「……気ィ付けろよ」
刀を収め、部屋を出ていこうとする彼に向けられる言葉など、今の俺は持ち合わせていない。それでも何かしたくて、なんとかしてほしくて、どうにかこうにか言葉を紡ぐ。
「は、何がだ」
ふん、と彼が鼻で笑った。おんなこどもじゃないんだ、夜道で警察が浮浪者相手にびびってどうすんだよ。彼の言うことは最もだった。しかし、俺の求める正解ではなかった。
「……また来る」
それはまた俺じゃない誰かに抱かれるってことかい、土方くん。俺でリセットするってことかい、土方くん。いつになったら俺は一番になるんだい、土方くん。部屋に沈黙が戻った。
暗黙の了解
101119