入社



高校一年生になった

皆は、だけどね
私は兄さんや自分の生活費を稼ぐために就職の道を選んだ

兄さんは自分が働くって言ってたけどね
なんとか説得したよ

男として入社したこの会社は
白蘭率いるジェッソファミリーの表の会社

名前をファレノプシス
別名胡蝶蘭
略してファレスと言う

私は、いや僕はファレスの日本支部に新入社員として入社した

生活費って言うのも勿論だけど、やっぱりこれだけ情報を探しているのになにもないとこかな
調べてわからないなら乗り込んで調べるしかない
嗅ぎまわっていることはきっともうばれているんだろうな
バレていることを前提に重役にまで上り詰めて調べる
何事にも慎重に行こうと思う


「ねえねえ彼方チャーン」
「社長仕事してくださいてか本部に戻ってくださいそしてチャンつけないで下さい」

いや、思っていた

…なーんでこの人がここにいるの
おかしいでしょう
なんなんだよほんとに胃が痛い

「もう 彼方チャンは我侭だなあ」
「いやあんたに言われたかねーよ」

こんな軽口を叩くような仲になってしまった
いや初めからだけど
周りの人もハラハラしながら見ている
社長になんて口を!なんて声も聞こえてくるが無視だ
この白いののせいで将来入江さんも胃痛に悩まされるんだ

「あ、でね、彼方チャン」
「…はぁ…なんですか」
「マシュマロ買ってきていーい?」
「勝手にしろ!」

あーこいつまじ腹立つわ…
あ、怒らせてボロを出させる作戦だろうか
いやいや表情は変わらないから…うーんどうなんだろう

じゃあ行ってくるねーなんて言いながら出ていく社長基白蘭の背中を見送る

「あ、あの…白鳥さん…」
「えーと…鈴木さん?どうかしましたか」

そうそう
なんだか女性から声をかけられるようになった
髪は長いまま
ロングを後ろで一つにまとめている
ロングな男性はモテないって聞いてたんだけどな

「これ…作ったんでもしよかったら…」
「ああ…ありがとうございます」

可愛らしいラッピングがされたカップケーキをもらった

私も私もと皆にお菓子をもらう
男性もチラホラいるんだが…女子力高いな
てか今は男として入社したんだけど…まさかソッチの人が…怖
女性にモテるのはいいよ?
男として入社したんだからね
でも男性に…こう…こられるのは…ね?

そうこうしてたら社長が戻ってきた
ねえねえこれもらっていーい?なんて言いながら私に貢がれたお菓子を奪おうとしている

「社長、駄目ですよ 僕がもらったものなので」
「あれ?でも彼方チャン甘いもの苦手でしょう?」

いや人並みには好き…かな?
まあめんどくさいから訂正はしない
てかそんな情報どこで手に入れたんだか…

「まあ…ですがせっかく僕に作って下さったんですから、全て食べますよ」
お菓子の妖精さんがね

猫被るのって大事だと思う
このお菓子たちはクール便で某お菓子の妖精さんに送ることが決定している
自分で食べるわけはない

「ふーん…いっつも誰に送ってるんだろうね」

後半は小声で私にしか聞こえないように言ってきやがった
ほんと怖いわこの人

「世間体は大事ですよ?それに嘘は言っていません」
こちらも小声で対抗してみる

「彼方チャンて結構性格悪いよねー」
「社長にだけは言われたくありませんがね」

どうせならいります?
みんなに見えないようにならいくらでもあげますよ?

小声で白蘭に伝え、書類を持って失礼しますとその場を後にする


まじで胃薬常備しようかな
入江さんの苦労がわかるような気がする



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