ごきげんよう、柳くん。 ……比呂士か。 どうされたのですか、ベンチでノートなど広げて。しかめっ面で黒いノートに書き込みなんて穏やかではありませんね。今度は誰をどのように殺めるおつもりですか? そうだな。では「仁王雅治、柳蓮二にデータを取られ死亡」というのはどうだ。 その後ろに「しかしそれは仁王と入れ換わった柳生比呂士」と付け加えて下さいね。 ふっ。 ふふ…… データが欲しいのだ、仁王の。奴の行動パターンが知りたい。 まあ!柳くん、仁王くんに恋しているのですか? 比呂士…流石に気分悪いぞ。 柳くんが酷い事を仰るからですよ。 期待に沿えなくて悪いが、その可能性は0%だ。 あ、真面目に答えてる。 冗談を少しでも本気だと思われたら面倒だからな。仁王の恋路を邪魔する気はない。 仁王くん、好きな方がいらっしゃるのですか!? …仁王に同情する。 どういう意味ですか? それはさておき、データだ。チームメートのデータが取れないとは、データマンの名が廃る。 簡単にデータを取られては詐欺師の名も廃りますよ。 そうは言うが、比呂士。お前は奴に関して大方把握しているだろう? そんなことはありませんよ。 そうか? ダブルスを組んで長くなりますし、他の方に比べれば彼の事を理解していると自負しても良いのでしょうか。でも彼の全てを理解出来ているかと問われると答えはNOです……彼が、それを望みませんから。 詐欺師だからか? そうですね、考えが読み取られるようでは詐欺師失格です。でもそれとは関係なく、彼はそういうのを嫌うと思うんです。そういう…お前の事は全部判っているんだ、みたいな態度を取られるのは。 ほう…… ですが、その反面誰かに理解されたいと思ってる。詐欺は寂しさの反動ではないでしょうか。 …… だから私は彼を判っていると過信しないようにしているのです。でないと彼のSOSとか、構って欲しいとか、そういうサインを見逃してしまう。 ……ふ。 柳くん? 仁王が比呂士を好いている理由が判った気がする。 え? 参謀!俺の可愛い柳生さん捕まえて何を吹聴しているのかのう? ……仁王くん! うむ、噂をすれば影。 仁王くん仁王くん! なんじゃ、やーぎゅ。凄い顔ぜよ。 貴方、想いを寄せている方がいらっしゃるとか! へ!? 顔が赤い……!やはりそうなのですね!! ま、まて、やーぎゅ! 柳くんは御存知なのに私は知らないなんて…!親友だと思っていたのに仰って下さらないなんて酷いです!! や…… 私では貴方の力になれませんか…? ――っ、参謀!柳生に何言ったぜよ!? 憐れ仁王。ノートには 「仁王雅治、柳生比呂士と腹上死」と書いてやろう。 何の話じゃ!! デスノートごっこ。 |