ローズグレイに隠された魔法



モノクロタイルとピアノのロンド

薔薇庭園で交わした秘密の、

あいして、キスして、だきしめて

天井の無い部屋と白い椅子

積み上げた煉瓦の崩壊

ねぇ、あの時の台詞に嘘など無いと云うのなら

傘を差すという口実

記憶の中の空はどこまでもグレイで、

ある水曜日のクラウディ・ブルー

ローズの香りと近すぎる君の瞳(め)


部屋に残る煙草の香りを、
(マニキュアの色で誤魔化して)

ねぇ、もう二度と逢えないなんて

雨の洋館、一室にて

切れかけたランプの警告

僕は読書家のふりをした

あぁ、なんて不毛な願いなんだろう!

曇り硝子の向こうに海を視た


物悲しい、だなんて所詮は僕等が抱く印象に過ぎないのだから

たとえ結ばれる世界があったとしても
(今この世界で君を愛すよ)

輪廻のさきで何度でも出逢おう

刹那に生きる事の意味を決して違えること無き様、

神様はひとつの魔法を授けました

中世の騎士に伝えて、

薔薇の王子は砂漠の明星に向かい、ついに還る事はない

愛していたのです、たとえ交わること無かろうと

悲劇とは呼べぬ




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原題 : 2009.0810





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