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御幸くんと付き合ってそれなりになるが、休日に待ち合わせをしてデートなんて初めてじゃないだろうか。
野球をする為に青道に入ったのだから御幸くんが部活漬けの日々を送るのは当たり前の事。それを承知で付き合っているのだし、何より野球をしている御幸くんをカッコいいと思っているのだから不満はない。
だが久しぶりのオフに、ちゃんとしたデートが出来るというのが嬉しいと思ってしまうのは仕方がないと思う。

待ち合わせの20分も前から待機して、ガラスに映る自分の姿を見て身だしなみを整える。
私服を見せるのも久しぶりだからか、何度も変じゃないかと確認してしまい、自分でも乙女だなー苦笑してしまうほどだ。

待ち合わせ時間までまだあるから、違うと思いながらも駅から人の波がくるたびに御幸くんの姿を探してしまう。
本日何度目かの人の波の中にも御幸くんの姿は無くて残念に思いながらも、まだ心の準備をする時間があるとホッと息をついた。
だが、それもつかの間。人の波があらかた去った後になって表れた人影に、吐いたはずの息を勢いよく吸い込んで呼吸が止まる。
ICカードではなくキップを改札に通す姿が御幸くんらしいと思いながらまじまじと見つめ続けた。


「あれ、早くね?俺が時間間違えた?」


ポケットからガラケーを出して時間を確認した御幸くんが首を傾げた。それもそのはず、なにせまだ約束の15分前だ。
謝ろうとする御幸くんに慌てて自分が早く来すぎただけだと説明して、改めて「おはよう」と挨拶を交わした。
御幸くんはシンプルなファッションなのに、それすらカッコいいと思ってしまうのは惚れた色目だろうか。毎日学校で会っているはずなのになんだか気恥ずかしい。


「んじゃ、早いけど行くか」


御幸くんは至って普通に接してくるからきっと緊張したりしていないんだろうな。お互いがギクシャクするよりよっぽどいいけど。

未だに落ち着ききらないまま、当初の予定通り映画館へと向かう。
デートはしたいけど、日頃部活漬けで休めていない御幸くんにゆっくりしてもらいたくて映画にしたが、御幸くんが観たいものがあると言ったのがまさかの特撮怪獣ものだった時には驚いたものだ。
デートでそのチョイス、と少しの違和感を覚えたが、今日改めて一緒に映画館にきてラブロマンス的なモノじゃなくて良かったと感謝した。
こんな舞い上がった状態で他人のイチャイチャなんてみたら、その後どんな顔で御幸くんを見ていいか分からなくなっただろうから。

ネット予約していたチケットを引き換え、バイトしていないはずなのに奢るという御幸くんに甘えて飲み物だけ買ってもらって開場を待った。


「コーラありがとうね」
「いーえ、そんなオシャレしてきくれた事に比べたらお安い御用ですよ」


そう言いながら頭から足の先まで視線を這わせた後、「似合うじゃん」とニヤリと笑みを浮かべる御幸くんに自分の顔が熱くなるのが分かった。
会った時何も言わなかったから気にしていないのかと思ったのに、不意打ちはズルい。

「待ち合わせも早く来ちゃうし、そんな楽しみだったの?」と楽し気に問われても素直に「そうです」なんて返せるわけも無くて、赤い顔を隠すように俯けば聞こえる笑い声。
私だけテンパってて御幸くんが余裕綽々なのが悔しいが、いつもより落ち着きがない事は自覚しているし言い返せない。


「ほんと、お前そういうとこ可愛いよな」


ほんと、御幸くんのそういうとこズルいよね。そう言ってやりたいのに、そんな顔で言われちゃったら何も言えなくなってしまう。
照れ隠しも兼ねてコーラへ口づけた所で開場のアナウンサーが入り、御幸くんの背中を押す勢いで行くよと促したら、また笑われてしまった。


「もう!御幸くんのバカ」


席に着いてもクスクス笑っている御幸くんに恥ずかしくなり怒って見せたけど、それすらも楽し気に受け流される。
もしかしたら煩くて注目を集めているのではと思い、周りを確認したが公開からだいぶ経っているのもあってか人はまばらなうえ、最後列の一番端っこという場所もあってこちらを気にしている人はいなかった。


「この席だと人の視線がなくていいよな」


沢山席が空いているようなのになんで端なんだろうと思ったけど、人の視線避けるためにわざとなんだと納得していたらスルリと伸びて来た御幸くんの左手が私の右手と重なる。
驚いて手を引いてみるが、しっかりと握られた手はピクリとしか動かず、御幸くんがまたニヤリと笑った。


「この方がデートっぽいよな」


そう言いながら私に見せつける様に繋がった手を持ち上げてみせる彼の顔は、映画館に来てからずっと小悪魔の様な微笑み。元々ない私の余裕を根こそぎ奪っていく彼に、再度「御幸くんのバカ」と伝えるだけで精一杯だ。
それなのに、彼はそれだけでは満足してくれない。


「なぁ、いい加減御幸はやめね?俺は葵って呼んでんだし」


そろそろ寂し〜な〜なんてちっとも寂しくなさそうに言われ、半分からかわれていると分かっていながらも熱くなる頬。
なんとなく恥ずかしいからと先延ばしにしていた呼び名だけど、なにも今言わなくてもいいのに。
「呼んでくれねぇの?」と顔を覗き込んでくるのも、そうすると私が拒めなくなるのを知っているから。
早くと言わんばかりに見つめてくる眼に負け、意を決して言おうとした矢先、劇場案内とともに館内が薄暗くなっていく。


「・・・残念。後でな」


近かった顔を離してきちんと座り直したにもかかわらず、握られた手は離される事なく絡め捕られたまま。当たり前のようにスクリーンを見つめる御幸くんに自然と意識がいってしまい、映画が始まってもしばらく集中する事が出来なかった。
手汗が酷くなる前にこの手をどうにかしないとと思考を巡らせていたら、急に「フッ」と御幸くんが笑った気がした瞬間、右手の熱が離れていった。

疑問に思いながらも御幸くんを見たらその手で飲み物を飲んでいてこちらを見ている様子はなかった。ちょうど笑えるようなシーンだったのかな?
全然内容が入っていかないから分からなかったけど、とりあえず落ち着く意味もかねて私もコーラへと手を伸ばした。
冷たい炭酸が喉を通る刺激で気持ちがリフレッシュされる気がする、なんて安堵していられたのは一瞬で、急に太ももを撫で上げられる感触がして思わず小さな悲鳴をあげた。


「み、御幸くん!?ちょっと・・」


何事かと小声で制止しながら自分の太ももに伸ばされた御幸くんの左手を掴むが、触れている指先がソワソワと太ももを這うせいで力が入らない。
ピクリと反応してしまう私を楽しんでいるのか、徐々に大きくなる手の動きに再度静止の声を掛ける。だが「呼び名が違うからダーメ」と耳元で囁かれ、ゾクッと全身が震えた。


「ほら、ちゃんと言わないともっと上まで触っちまうけど?」


そう言いながら徐々にスカートの中へ入っていく左手が厭らしく動く。こんなところで何するんだと怒りたいのに、それこそ映画中にこんな事されてナニかを期待しているみたいに疼く下腹部が恥ずかしかった。
顔を隠すように俯きながらも必死にその手を押さえるが、私の力なんかではどうする事も出来ず際どい処を撫で上げていく。


「っ、やだぁ・・か、一也くんっ」


これ以上触られてしまったら感じていることがバレてしまいそうで、羞恥心に染まったまま必死に彼の名を呼ぶ。色んな感情が入り混じったせいか少し震えてしまった声は本当にか細いものだったけど、御幸くんの耳には届いただろうか。
動きを止めてはくれたけど離れない手が不安になり彼の顔を覗き込もうと顔を上げた瞬間、視界も音も何もなくなった。


「んっ、ふぁっ」


強引に顔を引き寄せられ重ね合わされた唇は、息を吸う事すら許すまいと深く深く貪られる。

ここが何処だとか、人の視線がとか、見たかった映画なのにとか
そんなことを思う隙は二人にはまるでなくて
お互いの唇から与えられる快感だけが二人を支配していた。





ユウ様、こんにちは!この度はリクエストありがとうございました。
ダイヤ夢は受け入れてもらえているのか不安だっただけに、こうしてリクエスト頂けて嬉しかったです。
そして御幸一也の人気に驚いております。彼は凄い。
今回は高校生のデートという事でしたが、ご期待に添えれたでしょうか・・・。
終わりかたも微妙で、「え?これこのままナニしちゃうの!?」的な感想だと思いますが、そこはご想像にお任せします!
それでも少しでもユウ様に楽しんでいただけていたら幸いです!

更新もまばらでマイペースな管理人たちですが、どうぞこれからも御贔屓いただけると嬉しいです!
末永く、よろしくお願い致します!
write by 朋


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