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沢山の人が集う金曜日の夜の街中。
明日が休みということもあってか浮かれた酔っ払いの姿もちらほら見受けられた。

そんな中を歩く私たちも周りからはそう見られるのだろうか。

珍しくお互いが残業もなく早く終わり、久しぶりだしと外でゆっくりと食事をした帰り道。主に食事と会話を楽しんだのだけど、金曜日のこの時間に貴大と一緒に居られるという事が嬉しくて浮かれているのは事実。
足取り軽く、貴大の腕に抱き着くように歩く私は酔っ払いと変わらないのかもしれない。

「まだこんな時間だって。なんか新鮮だね」

スマホに表示されている時計は、いつもならこれからご飯を食べようとしてるような時間帯。
貴大もなんか得した気分だなと弾んだ声で返してくれたからきっと同じような気持ちなのだろう。

「今日はお風呂にもゆっくり入れるんじゃない?」
「おーそうだな。いつもパパッて入ってすぐ寝るもんなー」

仕事が忙しすぎて、平日はご飯もお風呂も寝る準備もすべてささっと終わらせて睡眠を優先してしまっていたが、今日はまだまだ時間にゆとりがある。
のんびり湯船につかって明日に備えるのもいいのではと提案すれば、同意を示していた貴大がふいに何かを思いついたように声を上げた。

「んじゃ一緒に入る?」

せっかくだし一緒に居る時間長い方がいいじゃんと、さも正しい事を言っている風で言ってのけるがそこはそうだねとは言い難い内容に勢いよく首を振る。
一緒にお風呂なんて恥ずかしすぎるし、なによりそんなことして貴大が大人しくしている訳がない。

「ダメだよ!!貴大ぜったいえっちなことするもん!明日は足腰立たなくなったら困るからダメ!」

明日は朝からブライダルフェアに一緒に行こうと予約しているのに、貴大とえっちしてしまったら午前中いっぱい起き上がれなくなってしまう。
優しくするとか言っても貴大に体力があり過ぎて毎回私の体がもたないのだから。

「ならえっちはしませーん。だからいいじゃん、ね?」
「よ、よくないよ〜!普通に恥ずかしいもん!」
「でも一緒に入ったら背中とか見てあげれるよ?襟足とか気になんでしょ?」

確かにドレスを着るのに背中とか襟足が気になるとは言っていたけど、まさか説得材料にそこを使ってくるのかと押し黙る。
いくら気軽に行けるフェアとはいえ、ドレスを着るのなら綺麗にしていきたいのが本音。一人ではどうする事も出来ない背中の処理をやってくれるという貴大に、心が大きく揺らぐ。

「・・・本当にえっちな事しない?」
「誓いまーす」

真顔で片手を軽く上げ誓いのポーズをとってみせる貴大はふざけている様にしか見えないけれど。でも嘘をつくようなことはしないはずだ。
羞恥心とのはざまで揺れ動くが、再び絶対だよと念を押して貴大の提案を了承してしまった。
途端に嬉しそうにする貴大に今から恥ずかしくなってくる。

「んじゃ、今日は俺が風呂掃除するわ」

住み慣れた我が家へと帰りついた矢先、鼻歌を歌いながら風呂場へと向かう貴大。
もう同棲してしばらく経つし、結婚の約束までして式場を見に行こうと言っている仲なのに、今日はやけにこの家にいるのが気恥ずかしく感じる。
取り合えず落ち着こうとコートを脱いで温かいお茶を入れる準備をしていたら、掃除を終えた貴大が裾と袖をまくったまま上機嫌でリビングへと戻ってきた。

「貴大も温かいお茶飲む?」
「おーもらうわ、ありがとさん」

所々濡れた服のまま淹れたてのお茶を受け取る貴大からはやっぱり鼻歌が聞こえ、落ち着ける為に入れたはずのお茶を飲んでみてもちっとも落ち着いてなんかくれない。
落ち着くまでもう少し待ってと思っていても、今どきのお風呂は溜まるのが早く、一杯飲み終える頃には無情にもお風呂が沸きましたのアナウンスが流れた。

「そんじゃ行きますか」
「さ、先入ってて。あとから絶対行くから」

この期に及んで悪あがきをと思ってくれても仕方がない。それでも脱衣所で脱ぎ合うなんて居たたまれないから、貴大を先に行くように急かす。

「あと、ぜったいえっちな事したらダメだよ」

何度目になるかわからない念押しに、貴大はフハッと笑い声をあげながら私の頭に手を置き「了解」と言いながら触れるだけのキスをして浴室へと去っていった。
落ち着く為に後から行くなんて言ったのに、これじゃあ落ち着けるわけもなく、そのまま床へと座り込んだ。
ヒンヤリと冷たいフローリングで体は冷えていくのに、顔は熱いまま。それでもいつもまでもここに座り込んでいる訳にもいかないと、意を決して浴室へと向かう。
浴室内には貴大の鼻歌が響いていて、時々きこえる水音が妙に耳に付いた。

「お、いらっしゃ〜い」

入るなり満面の笑みでこちらを見てくる貴大の視線から逃れる様に背を向けてバスチェアに腰かけ、シャワーへと手を伸ばす。
一方的に見られているのがどうにも落ち着かず、あらかた洗い終えてからムダ毛の処理をするからと後ろを向いてもらった。
女の子の影の努力はあまり見せるモノじゃないと言い訳して。
だが背中は約束通り貴大にやってもらうしかなくて、他の処理を終えてボディトリートメントまでしてから貴大へと声を掛ける。
お任せあれ、なんて調子のいいことを言いながら背後にしゃがんだ貴大にシェイバーを渡してお願すれば、いたずらする事もなく器用に滑らせていった。

「俺上手いんじゃね?」
「見えないから分からないけどそんな気がする」

自慢げにどう?と聞いてくる貴大に、届く範囲で触って確認すればつるつるとした素肌が感じられ、思っていた以上の出来に素直にお礼を述べた。

「うっし、任務も完了したしゆっくり浸かりますか」

そういって先に湯船に入った貴大がおいでと両手を広げて待ち構える。もう散々見られたし少し触れる位いいかと湯船へと足を進めれば腕を引かれ、貴大の膝の上に座らされる形で後ろから抱きしめられた。
触れ合う素肌に体が強張るが、何より腰に当たる固いものが気になってしまい、思わず貴大へと声を上げる。

「あの・・当たってますけど」
「コレばっかりは許して。好きな子前にしたらこうなっちゃうんだって」

これ以上の事はしないからとお腹に回された腕に力が籠められる。
警戒心から全身に力が入ってしまっていたが、本当にえっちなことをするつもりはない様で、私を抱きしめながら幸せそうにふぅ〜とため息を吐いた。

「明日はカラードレス着んでしょ?ピンクは着てね」
「いいけどなんでピンク?」
「俺の色だから。あと若草色も好きだからあれば着てほしいかな」

俺色に染めるみたいでいいじゃんと言う貴大はどんな顔をしているのだろうか。
友達から男はあまり結婚式に興味ないから期待しすぎない方がいいよなんて言われていたけど、貴大は興味ある様でその後も色々なリクエストをしてくれる。

「私がピンクとか着たら貴大も合わせてピンクのタキシードとか着る?」
「フハッ!それじゃあどっかのお笑い芸人だろ」

せめてネクタイくらいじゃね?なんて冗談も含めながら明日への期待を膨らませていく。
小さめのティアラが可愛いだとか、演出はどうだとか。
希望しかない未来を語る私たちの話しは尽きることなく、浴室に楽し気な声ばかりが響いていた。


一緒にお風呂なんて何考えてんだろうと思ったけど。
実際には恥ずかしいとか嫌がっていたのが嘘のように、とても穏やかで幸せな時間が広がっている。
毎日を忙しく、ただやり過ごす様に費やしてきた日常のなかで、この時間はとても貴重で有意義なものなのではないだろうか。

「ねぇ貴大、またいつか一緒にお風呂入ろうか」





のどか様、こんにちは!この度はリクエストありがとうございました。
花巻貴大と一緒にお風呂はいって健全甘にするの難しいっ!!なんて思ったのに、書き出したら楽しくて楽しくて。
書いていて私までなんだか幸せになれました!
きっと花巻はお嫁さんを可愛く着飾りたいって思っていて、結婚式の準備とかも協力的で一緒にやってくれると思うんです!
っで、式に呼んだ青城メンバーに「どうだ俺の嫁さんキレイだろ」って見せつけるんです。あぁ、良いお婿さんだ。
のどか様が思う花巻がこんな感じで良かったかはわかりませんが、少しでも楽しんでいただていると嬉しいです。

そして、とても嬉しいメッセージも有難うございます!
何度も足を運んで頂き、読み直してまでくださるなんて光栄です。
こちらこそ夢の時間のお手伝いをさせて頂けてありがとうございます!
のどか様のように何度も来て下さる方にも楽しんで頂ける様に、これからも色々な作品を書いていきたいです。
冬も本格的になり、かなり寒くなってきていますのでお体に気を付けてお過ごしくださいね。
これからもどうぞ、よろしくお願い致します!
write by 朋


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