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危険なブランコ 後編

※使用上の注意をよく読み、正しくお使いください

そんな類の注意文は大概読まずに「はいはい」って言っていましたごめんなさい。
現在、その文のありがたさを身にしみて感じております。
だって、あきらかに対象年齢を過ぎたブランコを使用し、お尻がハマってしまったのだから。

本当に情けない話である。

乗る時は体重の重さも手伝って入ったのか、腰を浮かしてもまったく落ちる気配がないブランコ。しかも転倒防止用のバーを上げていないと太ももが引っ掛かり立ち上がれない。
片手でバーを上げながらブランコを下に押してお尻を持ち上げるってどうやるの!?

ゆらゆらと揺れるばかりで全く抜ける気配のないブランコに焦るばかりで事態は一向に変わらない。


「・・・さっきから何をしている」
「若ちゃ〜〜〜ん」


見てないで助けて〜
一人でもがいている私をただ見守ってるとかしなくていいから


「っで、なぜ立たない?」
「・・・見ての通り、お尻が抜けなくなりました」


目の前まで来ても状況が分かっていなかった若ちゃんに、素直に助けを求める。
この状況を見てそれを聞くってどういう事って思うが、わざと言わせてるわけじゃない所が怒るに怒れない。

な・の・に!
私の今の状況をやっと理解できた若ちゃんは、一瞬の間の後、事もあろうか笑い出したのだ!


「クククっ・・抜けないからもがいていたのか・・クッ」
「笑うとかひどい!!若ちゃんが乗れって言ったのに――!」


そんな私の抗議も笑いの要素なのかそのままお腹を抱えて笑っている。

大爆笑ってほど声を出さないところがムカつく。
そして笑われているのにもかかわらず、若ちゃんの助けが必要なこの状況が悔しい!なによりかなり恥ずかしい!!!

若ちゃんが笑っている間に抜けれないものかと再度もがくが抜けず、むしろ変に動いたせいで太ももをバーで強打してしまう。
これは痣になったな。ほんと恥ずかしさと痛さで泣ける。
ジンジンする太ももの痛みに耐えていると、やっと笑い終わった若ちゃんがこちらに向き直ってくれる。


「若ちゃん・・はやく・・・」


羞恥心でまともに顔が見えず、上目遣いになったのはワザとじゃない。
だから、ブランコを握っていた手に若ちゃんの手が重ねられたことに驚いて顔を上げた瞬間、唇が塞がれるなんて想像もしていなかった。

状況が理解できずされるがままになるのも仕方がない。


「っんは・・」


驚きすぎて呼吸を忘れていたので、少し唇が離れた瞬間で息を吸ったら変な声になる。

それもダメだったのか、せっかく呼吸ができると思ったのに再び深く口づけされ、もはや酸欠状態。朦朧とする頭では、どんどん深く激しくなるキスに抵抗も忘れ、ただ若ちゃんに合わせるしかできなかった。


「・・・いかん。」
「・・はぁ・・ふぇ?若ちゃん?」


久しぶりの酸素に肩で息をしながら若ちゃんを見上げると、なぜか眉間にしわを寄せて見下ろしてくる。


「名残惜しいがこれ以上は抑えが効かなくなる」
「え・・え?なっ?!」


こんなところでなんて発言をするんだと全然働いていない頭が急に逃げろと信号を送る。
が、もちろんまだブランコから抜け出せていない私はガチャンと鎖を揺らすだけで若ちゃんから逃げられるわけもない。焦りで空回り、さらに焦る悪循環。


「や・・若ちゃん抜いて・・!」


逃げ出したい人に助けを求めてるのも変な話だけど、パニックになった時の発言は責任とれない。


「これ以上俺を煽るな」
「煽った覚えはありませんけど!!」


一言一言が若ちゃんを刺激してるなんて言う前に考える余裕ありませんから!
言われて思い返してみれば恥ずかしい一言だと思うけどね!若ちゃんは思いっきり盛大なため息をついた後、私を高い高いの要領で持ち上げる。


「・・・早く出ろ」


なぜかこちらを見ない若ちゃんに言われるがまま、何とかハマっているブランコを外す。

重力で外れたブランコが揺れているさらに上へと持ち上げられ、若ちゃんのほうへと抱き寄せられる。先程のやり取りがあるせいで、いつも以上にドキドキしてしまう。

いや、ブランコの上に下ろされても困るんだけどさ。ブランコを乗り越え、若ちゃんの首に抱き着く形になっているこの状況が恥ずかしい。


「・・あの〜若ちゃん?ありがとう。もう下ろしてもらっても・・・」
「あぁ・・・もう少し落ち着いたらな」


・・・・なにが?とは突っ込めるわけもなく、ドキドキとうるさい鼓動がバレません様にと願いうしかない。


「はぁ、やはりお前に近づきすぎるのは危険だな。欲が抑えられん」


ゆっくり私を下ろすなりの問題発言。
発言すらも直球過ぎて驚いてばかりだ。

普通もう少し恥ずかしがって言わないよね。
でも、だからあんまり触れてこなかったのか…

告白はされたが、本当に恋愛対象として見られてるか不安になっていたがその必要はなかったようだ。

帰るか、と歩き出した若ちゃんに、怒られるかなと思いながらも駆け寄り腕を組む。案の定、ぴたりと足を止めて私に向き直る若ちゃんの眉間にはしわが寄っていた。


「おい、俺の話を聞いていたか?」
「ふふふ〜だって若ちゃんがちゃんと女として見てくれてて嬉しかったんだもん」


だから今日はこのまま帰ると腕を引っ張るが若ちゃんはピクリとも動かない。
逆にぐいっと引っ張られバランスを崩しながら若ちゃんへと倒れこむ。


「ならば遠慮なく」


そういって再び深いキスを落とす若ちゃん。

この人、意外とむっつりだったのか?!
こんな大きな体で抱きしめられてキスされれば身をよじることさえできない。再び漏れる自分の妙に甘い声や熱い吐息に溺れそうになる。


「今日は母さんが遅いと言っていた。家へ寄っていけ」


クラクラとキスに酔っている私を誘う若ちゃんの視線が熱すぎて、何も考えずのぼせる様にうなずいてしまった。

愛情表現すらも直球の彼。
俺のモノだという印をつけたいと思ったらとまらなくなった。そういう彼にちょっとキュンとしてしまった手前、翌日の朝練で「葵ジャージ脱がないの?」と突っ込まれる羽目になったのも仕方がないのかもしれない。





あら?牛若さんなのにこんな展開??(笑)
私の勝手なイメージですが、牛若さんは恥ずかしいって単語を知らないと思いますww

write by 朋


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