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雨音響くなか 前編


大粒の激しい雨がアスファルトの上で弾む中を慌てたように建物へと走り抜けていく人たち。それは私たちも例外ではなく、残り僅かな家までの道を全力で駆け抜ける。
突然振り出したゲリラ豪雨のような雨は一瞬で街中を濡らしていった。


「ふぃー、やっべー雨だなー」
「ホントびしょ濡れだね」


勢いよく玄関に駆け込みこれ以上濡れないことに安堵するが、既にこれ以上濡れても変わらないってくらい水を吸った制服で全身が重く、立っている玄関に水たまりを作っていく。
1分もしないうちにこの有様は、このゲリラ豪雨がどれほど凄まじいかを物語っていた。


「ちょい待ってて、タオル取ってくるから」
「え、家の中濡れちゃうよ??」


靴を脱いだだけでありえない水音を鳴らす足で廊下へと上がる貴大につい待ったをかける。このまま上がったら貴大が通った後に水たまりができるのは目に見えているから。


「お家の人誰もいないの?」


誰かに持ってきてもらえばと思ったが、貴大から月曜日の夕方なのに居るわけないでしょと当たり前のように言われ、引き止めるために掴んでいた裾を放す。
専業主婦のいるうちとは違い、貴大のお家は共働きだからいつも早い時間はいないんだったと改めて認識させられた。


「廊下くらい後で拭けば・・って、どうせ拭くなら葵も上がっちゃえよ」
「え、いや、ちょっとっ」


流石に濡れた状態で人様の家に上がるわけにはと躊躇する私にお構いなしに手を引かれ、半ば強引にそのまま脱衣所へと連れていかれる。
私達が通った後には予想通り水の足跡がついていくのを申し訳ない気持ちで見届けるしかなかった。

脱衣所でも一人分しかない足ふきマットでは二人から滴る雫を受けきれるわけもなく、玄関同様に水たまりを作り上げていくのが申し訳なくて、浴室に入らせて頂いてスカートの裾を絞る。
絞っている最中にもブレザーから伝い落ちる雫がスカートを濡らしていくのだから意味がないのだが。いっそブレザーだけでも浴室乾燥用の物干しに掛けさせてもらおうと貴大を見れば、すでに制服を脱いでパンツ一枚になっていて、久しぶりに明るいところで見る裸体に思わず目をそらした。
水着姿と変わらないと言われればそうなのだが妙に照れくさいのはなぜだろうか。


「葵も脱げよ…って、なに?照れてんの?」


自分の服を丁寧にハンガーに掛け終えた貴大が、浴室内で不自然なほどに顔を背ける私を見て楽しそうに近づいてくる。


「ちょ、、なんで貴大まで入ってくるの」


自分は脱いでいないとはいえ、浴室内に下着姿の貴大が一緒にいる状況に恥ずかしさが増していく。ワザとやっているとしか思えない貴大は、もっともらしくびしょ濡れの制服が掛かったハンガーを物干しへと掛け、一緒に持って来たのか別のハンガーを私に差し出しニヤリと笑った。


「早く脱がないと風邪ひくぞ?」
「や、ちょっと!大丈夫だから!自分で脱げるし!!」


言葉と共に伸びて来た貴大の手がブレザーの中へと入ろうとするのを慌てて静止し、すぐさま自分でブレザー脱いでハンガーへと掛ける。
その間に響いてくるのは外の激しい雨音だけなのがいたたまれなくて、こちらを見ているだろう貴大を振り返ることができず、かけたブレザーを握りしめて水気を絞った。
濡れたシャツが張り付いて寒いはずなのに、背中に感じる貴大の視線のせいで体が熱く感じる。


「水色も可愛いじゃん」


唐突に告げられた感想が何を指しているのか理解したころには、貴大に後ろから抱きしめられていた。
濡れたシャツ越しに感じる体温を温かく思うのは貴大が熱いのか私の体が冷えているのか。普段と違う感覚に戸惑っていたせいで「これも干した方がいいな」と手早くスカートのホックを外す貴大の手を止めるのが遅れ、水を吸った重たいスカートはすぐさまペチャと足元で水音を鳴らした。


「やっ、何してんのバカっ!!」
「こんな水が滴るスカート穿いたままいるわけにはいかないでしょ」
「そ、そうだけど・・」


それでも貴大が脱がす必要はないはずだ。
思考回路が卑猥な展開を想像していくこの状況を何とかしたくて貴大の腕の中でもがいたら、暴れた拍子に蛇口を触ってしまったらしく冷たい水が私たちに向かって降りそそぐ。
まだお湯になっていない水を頭から浴びながら「冷てぇ」と文句を言うものの、私を放してはくれなかった。


「シャワーで暖まんのは賛成だけどせめてお湯になってからにしようね」
「違っ、、そんなつもりじゃ…」
「あれ?じゃあ頭冷やせってことだった?」


そんなつもりは全然なかったが、これ以上抱きしめられていることに耐えられなくて同意すれば、「強引だな」なんて言いながらもどこか楽しそに笑う貴大の腕の力が緩まる。
これでこの状況から解放されるとホッとしたのも束の間、強く肩を引かれクルリと体が反転すると同時に唇を塞がれた。
シャワーからの直撃は避けているものの、先程浴びた水が髪から伝い落ち、重なり合う唇を濡らしていく。


「残念、この程度じゃ止めらんないよ」


完全にソッチモードへとシフトされている貴大の舌が私の舌を絡めとるたびに水なのか唾液なのかわからないものが口の端から垂れていく。
水気が入りそうで呼吸がしにくいせいなのか、シャワーがお湯へと変わり室内の熱気を上げているせいなのかわからないが意識がぼやけていき、思考が靄がかった様に鈍っていた。
このままでは流されてしまうとわかっていながらも貴大のキスに応えてしまうのはこんな濃厚なキスが久しぶりだからだろうか。

なんて思っている間にもシャツのボタンが全て外されていた。


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*注* 次の話は性描写を含みますので、注意喚起としてパスワード入力になります。



お世話になっているフォロワーさんへ花巻でエロをプレゼントしようとしたら長くなりましたww
分かると思いますが後半エロです(笑)ドエロにする予定ですが果たしてちゃんと書けるか…
write by 朋



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