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1限目の授業終了の挨拶が終わると同時に教室を飛び出した。
向かう先はもちろん3年3組の教室。

本来なら朝一番で会いに行きたかったけど、秋紀先輩は朝練があるので教室に来るのが遅い。
1年の教室から3年の教室までは結構な距離がある為、HRの前に会うのは至難の業なのだ。
だから授業が終わってすぐなら!と先生がいるのもお構いなしに廊下を走る。


「秋紀先輩きいて!!!」


目的の教室へとたどり着いた勢いそのままドアを開けて叫べば、クラス中の目が私を見つめた。
それは教壇に立っていた先生も同じで、しばらくの沈黙が訪れる。

やばい!まだ授業終わってなかったのか!

大胆にドアを全開にしたままのポーズで「早まりました〜」と苦笑すればクラス中から笑いが起こった。
怒られなかったし、笑ってもらえたからいいか。
秋紀先輩だけは頭を抱えているけど。


「もう終わるので少し待ってくださいね、高宮さん」
「はーい。先生早くしてね〜」


先程チラリと秋紀先輩を視界に入れてしまったから、朝から押さえている会いたい衝動が加速度を増している。
閉めたドアが早くもう一度開かないかと廊下でソワソワしている私を、他のクラスの先輩たちが微笑ましい目で見つめながら通り過ぎて行った。

ガラリ

引き戸の開く音に瞬時に反応し教室に入ろうとする私に、出てきた先生が呆れたようにため息を漏らす。


「高宮さんお待たせしました。次からは…」


確認してから開けましょうと言う先生に「はーい」と生返事で返すが足を止める事はしなかった。
だってやっと秋紀先輩と話せるのに!!


「先輩!!あのね!これ貰ったの!!!」
「はいはい、とりあえず落ち着け」


朝から元気だなと呆れながらも笑顔をくれる先輩につられ、私まで顔が緩む。
いや、ずっと緩みっぱなしなんだけどね!

秋紀先輩の前の席の人に勧められるままに席を借り、腰を下ろした。
私が訪れる度に、煩いからかもしれないが席を譲ってくれる優しい先輩にありがとうと手を振ってから改めて秋紀先輩に向き直る。


「先輩今日から朝練だけで部活お休みですよね!帰りこれ食べに行きましょー!」


そう言って再度秋紀先輩の机に置いた『アイスクリーム無料券』を指さす。
もちろん2枚!!


「おー!最近できた有名なヤツじゃん。どーしたんだコレ?」
「昨日きた雑誌の人がくれたの!」


なんでもこの店の人が私の事を応援してくれているらしく、スポンサーとしての契約もしないかって話がでたのだ。
難しい事はよくわからないから改めて家まで来てもらうことになったけど。

この無料券はとりあえずの挨拶としてって雑誌の人が受け取ってきたらしい。
しかも「彼氏とどうぞ」ってニッコリ笑顔で言われたので「もちろんです!」と笑顔で返したところを写真に撮られた。
きっとだらしない顔してたんだろうなって思うとちょこっと恥ずかしい。


「俺にも食わせろよ?」
「もちろん!違う味にして2種類楽しもーね!」


先輩の肯定ととれる返答に私の頭の中はお花が飛びそうなほど浮かれている。
今から何味にしようかスマホでお店のサイトを開いて悩む私達に、周りから「リア充爆ぜろー」だの「テスト期間だぞー」などの野次が飛ぶ。
しかし私の耳はその声を拾うことなく右から左へ通過させた。


今日はもう、一日中秋紀先輩との放課後デートで頭がいっぱいだった。
普段からあまり授業は聞いてないけどね!わからないから!

そんな事を秋紀先輩に言ったらデート取り止めて勉強会とかになりそうだから言わないけど。
あ、でも一緒に勉強できるならいいかも!
アイス食べた後にでも言ってみよう!

そんな計画を1人で立てながら過ごす授業はいつもに増してあっという間に終わった。



「先輩早く早く!!」


学校が終わってすぐに駆け付けたが、平日にもかかわらず繁盛しているお店に期待が増す。
チラリと見える店内はすでに満席になっていた。


「買ってあっちのベンチで食べればいいよね!秋紀先輩は何にするか決めた?」


そう問いかけてはみたが、先輩の返事を待たずに「私はね〜」と、店先に立てかけてあるメニュー看板の『トロピカルレインボー』を指さす。


「お前・・・ほんとごちゃっとしたの好きだよな」


何が入ってんだ?と、看板に載ったイラストをまじまじと見る秋紀先輩の眉間には少しシワが寄っていた。

言いたいことはわかる。
だがしかし!!そんな事ではめげないのです!
だってトロピカルレインボーなんて他ではみたことないんだもん!!


「秋紀先輩も食べるんだからねー!」
「強制かよ!ったく・・しゃーねぇ、俺のは無難なのにしとくか」


そんな秋紀先輩の優しさにがっつり甘えて、トロピカルレインボーとチョコチップバニラを注文する。
店員さんから渡されたアイスを手に、浮足立ったまま近くの公園へと急ぐ。
後ろから人にぶつかるなよって声がかかるのもよくあることだ。


「それでは!いっただっきま〜す!」


秋紀先輩がベンチにたどり着く前にアイスを頬張る。


「ん!!美味しい!!」
「もう少しくらい待てよ」


呆れながら近づいてきた先輩が、何か思いついたのかニヤリと笑った。
あ、その意地悪そうな笑顔もカッコイイ。

なんて惚けていたら、私が手に持っていたアイスをそのまま大きくパクリと食べる秋紀先輩。
一気に少なくなったアイスに目を見開く私を横目に、「案外うまいじゃん」と口の端についたアイスを親指の腹で拭き取る先輩はずっと意地悪笑顔のままだ。

くそ〜〜〜!
アイスすごく減っちゃったのに、その仕草が似合い過ぎて許せてしまう〜〜〜!

満足気に隣に座った秋紀先輩を恨めしい目で見ている今ですら先輩は楽しそうだ。


「む〜〜〜!仕返しだ!」
「あ、おいっ!こら!」


改めてチョコチップバニラを口へ運ぼうとする秋紀先輩の手を押えて自分の方へ引き寄せ、傾きかけたところを口でキャッチするようにアイスへとかぶりついた。


「ふふふ♪ふぉふぇへおあいほへす」
「口にモノ入れてしゃべるんじゃねーよ!だー!ほら、垂れるぞ!」


そんなやり取りをしていたら、通りがかりの人がコチラを見てくすくすと笑いながら「若いっていいね〜」なんて言って通り過ぎて行った。


「若いと何がいいのかな??」
「ちげーだろ。・・はぁ、イチャイチャしてんじゃねーよって事。学校でもたまに言われんだろ?」


ちょっとは気を付けようと思ってたんだけどな・・とばつが悪そうに頭をかく秋紀先輩に首をかしげる。
イチャイチャなんてしてたっけ?


「イチャイチャってこういうのじゃなくて?」


今まで使ってなかったけど、コーンの端に添えてあるスプーンでアイスをすくい、秋紀先輩の口付近へと運ぶ。


「はい、あ〜ん」


そういえば普段こんな風にしたことなかった!お初あ〜ん!
秋紀先輩は急に出されて戸惑いながらもちゃんと食べてくれた。


「・・・そうだな、こういうのがイチャイチャだな・・」
「だよね!あ!秋紀先輩照れた??照れた??」


ちょこっとだけど顔を赤らめる先輩珍しい!!
いつも大体私が呆れられている事が多いからかな??
笑ってくれてることも多いけど!


「外だから暑いだけだ」
「ウソだ―!秋紀先輩が照れるの可愛い!過激なイチャイチャいいね!」


これからもたまにやろうかな、とはしゃぐ私に、秋紀先輩はヤメロと抗議してくるけどぜったいまたやろう!
こんな先輩見れるならいくらでもやる!


「クッソ…葵、お前少し黙れ」


ずっとニヤニヤしている私にしびれを切らした秋紀先輩が、急に近寄ったと思ったら強制的に黙らされた。

秋紀先輩の唇で塞がれた私の唇が熱い。


「過激なイチャイチャってのはこういうのを言うんだよ、バーカ」


秋紀先輩に代わって顔を真っ赤にさせる私に、照れながらも意地悪笑顔で返す先輩。



しばらく先輩の意地悪な笑顔と甘い唇が頭から離れなくなった。




るわ様リクエストありがとうございました!
遅くなってしまいましたが、天才とバカの境界線の木葉くんと無自覚にイチャイチャするお話やっと書かせていただきました!!
こんな感じで良かったでしょうか??久しぶりの木葉くんとおバカ夢主だったのでドキドキしましたが、私はひたすら楽しかったですww
破天荒な夢主、楽しい〜〜書きやすい〜〜好きだ〜〜ってなりました(笑)
そして振り回されながら結局自分からもイチャイチャしちゃう秋紀先輩・・・ぐっちょぶですw

これからも色んなキャラや、タイプの違う夢主も書かせて頂こうと思っておりますので、お時間ある時にぜひまた遊びに来てください(*'ω'*)
write by 朋


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