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嘘から始めた真実 09

高校三年の冬。
私の戦いは終わった。

後は結果を待つのみ。


「お疲れさま」


そう言ってホットココアを出してくれる研磨くんにお礼を言ってコタツに入ったまま受け取る。優しい甘さが口の中に広がって疲れを癒してくれるようだ。

ふい〜っと力のない息を吐き、まどろみに浸る。今は私の人生で最大の戦いである大学受験が終わって、受験だからと会うのを控えていた研磨くんのお部屋へと3か月ぶりに来たところだ。


「なんか葵…痩せた?」
「そうかも…ゲームできなかったストレスかなー」


いくらゲーマーとはいえ、さすがに受験前は控えていたから何個かイベントを逃したのだ。すっごく欲しい新キャラいたんだけどね。


「研磨くんは…なんか逞しくなった??え?もしかして身長伸びた?」


学校で会ってはいたが、お互い忙しくてのんびり会うのは本当に久しぶり。近くでまじまじと見た研磨くんはなんだか男らしくなってきた気がする。高2の男子って成長盛りなのか。

何となしに腕とか腹筋とか触ってみる。やっぱり毎日バレーしているからか前より少し太くなった気がする。
でもムキムキなわけでもなくて丁度いい硬さ。かなり私好みです。


「・・・・ねぇ、ワザと?・・・・なわけないか」


私に体を撫で回されていた研磨くんが呆れた様なため息をつきながらぐいっと私の腕を引っ張る。完全に油断していた私は簡単に引っ張られ、研磨くんの胡坐の上に乗せられてしまった。
まったく状況がつかめていない間に、後ろからギュッと抱きしめられて全身に研磨くんの体温が伝わる。


「ど、どうしたの?」
「ん・・・充電中」


私の首辺りに顔をうずめながらぎゅーっと私を抱きしめる研磨くん。
その行動が可愛いすぎなんですけど!出来れば顔も見たいなって思うのに私から見えるのは頭のみ。

そういえばだいぶ黒髪になってきたな。会ったころは金が多いプリンだったのに、今ではほぼ黒髪だ。伸びてきた髪は金髪部分と違いとてもつやつやしていて思わず頭を指を絡めた。


「葵の邪魔しちゃだめだと思って結構会うの我慢してたんだけど…」


顔をうずめたままの状態で話す研磨くんの息が首筋に当たり、一瞬ビクッと体が震える。
それでも研磨くんは体勢を変えることなくしゃべり続ける。


「これからはもう我慢しないから」
「うひぃゃおっ!!」


そう言って首筋をペロリと舐めるもんだから思わず変な声がでた。


「ちょっ!なんで舐めるの研磨くん!!」
「・・・なんか美味しそうだったから」


いやいや意味わからないしっ!

研磨くんのせいで一気に鼓動が早くなる。私の反応に満足そうに笑った研磨くんはまた首筋へと顔を埋める。
また何かされるんじゃないかと警戒してしまい、さっきまでの頭をなでるような余裕はなくなってしまった。そんな私に緊張しすぎと小さく笑い出す研磨くん。


「も〜〜!私こういうの免疫無いって言ってるのに〜!」


本当に好きな人とのお付き合いが初めての私は、事あるごとに緊張したり真っ赤になってしまう。研磨くんはさらりとやってのけるからずるい!


「何で研磨くんはそんなにいつも落ち着いていられるの?」


私ばかり翻弄されててずるい!
研磨くんにもドキドキしてほしいと思っているのにいつも気づくと研磨くんのペースなのだ。


「・・・・おれだってドキドキしてるから。…聞こえない?」


こんなにも密着してるんだからとさらにギュッと抱きしめてくれるけど、それでは私のドキドキが増すだけだ。


「・・・自分の心臓がうるさ過ぎてわかりません…」
「確かにすごいよね。じゃあ、これは?」


そういって抱えていた私をくるりと反転させ自分の方へ向けたと同時に唇をふさがれる。
突然なうえ、研磨くんの膝の上に乗った状態でのキスに恥ずかしすぎて呼吸を忘れてしまう。


「・・・んっ・・・はっ」


苦しくなってから何とか隙間から酸素を吸おうとするものの中々研磨くんが唇を放してくれない。その間にもどんどん私の呼吸は荒くなっていく。


「ねぇ、わかった?」
「・・・・・・わかり、ません」


完全に私が肩で息をしてから聞かれても分るわけがない。
鼓動ってどこまで激しくなれるんだろうというくらいバクバクしている自分の心臓を抑える。


「おれのも触ってみたら?」


そう言って私の手を取って、自分の服の中へと入れる。
素肌の胸元を触れば、確かに研磨くんのドキドキが伝わってくるけど…。


「・・・私の方が早い」


完全にさっきのキスのせいだけど。
触らなくても伝わるくらいバクバクしているのに、研磨くんはワザとらしく「そうなの?」と言って私の服の中へ手を入れる。


「ホントだ。すごいね」
「研磨くんのせいです」
「ふーん・・・じゃあもっと早くする?」


そう言って再び唇をふさぎ、長く深いキスが始まる。
研磨くんの悪戯スイッチが入ってしまったのか、その後もドキドキなんてわからなくなるほど研磨くんに翻弄されつづけた。







「・・動けません」
「おれも」


あれから1時間は経過しているが、お互いベッドの上でコロコロしたまま動けずにいる。


「やっぱり我慢すると・・・だめだね」


今までの分もって思って張り切り過ぎる、とぼやく研磨くん。


「普段くらいがいいです・・・」
「じゃあもっとこまめに会って」


じゃないと我慢できないっていう研磨くんは可愛い。可愛いけど言ってることが怖いです!
普段なら疲れることは好んでしないのにって言えば葵は別って返ってくるからずるい。


「でもこれからは研磨くんが受験生だよ?」


部活でもラストの試合もあるし、受験勉強もしなくちゃいけないし、私の時よりずっと忙しいと思うんだけど。
夏期講習とかも行けないだろうから後半の追い込みが厳しくなるだろうし。そんな私の心配をよそに


「大丈夫。もう受験勉強始めてるから」


後で必死にやるの好きじゃないからとすでに計画的に受験対策をしているんだからホント抜かりない。


「だからもう我慢しないから。・・・覚悟してね」


そう言って笑う研磨くんはカッコいいけど怪しい目をしていて。
やっぱり私は研磨くんの目に逆らうことが出来ず、期待と不安が入り混じる中、これから先も毎回頷いてしまうんだろうな。

そんな未来を想像して一人で笑った。


「覚悟はするけど、ほどほどにお願いします」


そう言って研磨くんの唇にキスを落とした。



fin.




研磨が研磨じゃないかもww
研磨くんは欲望に忠実だと思うんですよね、嫌なものは嫌、イイものはイイ。
って思ってたらこうなってしまいました。

とにもかくにもここまでお付き合いありがとうございました!


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