今日はいつもより早く来たかもしれない。
でも、オレはいつものように寝る。
きっと小沼あたりがいつものように、少し怒りながら起こしてくれるから。
そう思ってオレは睡魔に逆らうことなく目をとじ···


···ようとしたんだけど、
廊下から音が聞こえる。
小沼のように重い楽器を運びながらゆっくり歩く音じゃないし、
轟のように明るくて元気な音でもない。
落ち着いていて、どこまでもマイペースな、そんな音。
それでいてここまで来る人なんて1人しかいない。

「あれ、」

···やっぱり如月だ。オレわかってたよ、なんて、
誰かに褒められるわけじゃないけど、心のなかで呟いてみる。

1人でそんなことを考えていたら如月はオレが寝ているって思ったみたいで、何回か呼びかけている。
返事してもいいんだけど、このままだったらどうするんだろうと思って、やってもない寝たフリを続行。

さっきから独り言を言ってるようだけど、寝ている男子生徒の前でって、端から見たら変人だね。
小沼達が来るまでずっとそうしてるのかな。

「よし、私も寝ましょう!ちょっとお昼寝しても怒られないですよ別に」

···そうきたかー。
やっぱり如月ってマイペース、てか変な奴。
ホントに寝るの?如月は一応女の子だよ?
オレはとって喰うようなことはしないけど、女に飢えた他の男子高校生なら一発で襲われちゃうよ。

「おやすみなさいー」

オレがそう少なからず驚いてる間に如月はオレの隣にいて、もっと驚いたのはもう寝てるってこと。
オレより早いや。

今度はオレがどうしよう、というよりオレも寝ようかな。小沼達今日にかぎっていつもより遅い。
なら、とオレは小沼達が来たときに見せつけるため、如月の手と自分の手を繋いだ。

とって喰ったりはしないけど、これくらいはいいよね?

「おやすみ」

そうしてオレは、今度こそ寝るため目を瞑った。


END.



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