五つ、知らぬ事がありまして。
私は無知な生き物です。
君が泣く瞬間を、
私は知らない。
君が罹った病気を、
私は知る由も無い。
君が悪い子だって、
私は気づいていない事にする。
君が私を罵る言葉を、
私は聞いていないことにする。
君が辛く苦しむ事は、
いっそ私が知りたいくらい。
君が私を頼るときは、
私は出会うことも無い。

だからさ、我が君。
君も悪夢にうなされるとは、
全くもっていい気味だ。


  
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