終章



 一人目が死んだ。

 七日ほど経ち、二人目が死んだ。

 程無くして、三人目が死んだ。


 いつだろう。

 いつなのだろう。


 おれの番は、いつ。


 いつ、許される。




 炎に包まれた家にかつての面影はなく、床から天井から火がなめつくし、溶けるべきものはすべてただれていた。
――いる。
 辿り着いた時、泣き叫ぶ女性を押し止め、自身も涙を流す男がいた。
 声を、言葉を聞くよりも早く慎は察した。
 肌で、目で、耳で、己に宿る全ての感覚で察し体が動いた。
――やめろ、行くな。
 炎の轟音にまぎれ男の声がするも、慎の足は止まらずに家の中に進む。
 台所も、団欒の場である居間も炎に包まれ、見る影もない。
 ちりちりと肌が焼け、痛い。

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