白い霧が晴れると、二人の乗った車は、いつの間にか見慣れた大きな寺――明良の家の前に着いていた。
 「どういうことなんだ?」
 ついさっきまで見たこともないような山の中にいたというのに、これはいったいどうしたことだろう。
 まるで狐につままれたような展開に、明良は首を傾げるばかりである。
 「なあ、嵐。…もしかして、俺たち狐か狸に化かされたのか?」
 薄気味悪そうに振り返る明良に、
 「そんなんじゃないさ、あれは……」
 嵐は先ほどの『猫目堂』の風景を思い出す。

 (もしかしたら、俺たちは、天使に逢ったのかも知れないな)
 そんな呟きを心の中に落とす。
 それから、まだ不安そうに首を傾げている明良を見て、嵐はにんまりと笑った。
 「あ!お前、その顔は何か知ってるな?」
 「さあ、どうかな」
 「畜生。大吟醸飲ませてやんねーぞ」
 「冗談。あれは正統な俺の報酬の一部だ」
 「くそーーっ」
 嵐のもっともな指摘に、明良は悔しそうに地団駄を踏んだ。


 翌日、交通事故で亡くなった娘・美優の一周忌法要のため寺を訪れた母親に、明良と嵐は涙ながらに感謝されることになるのだが、今の二人はまだそれを知らない。




《了》




 『あとがき』と言う名の言い訳です。
 やはり人様のキャラクターを動かすのは難しいです。ついでに、制約が多いと尚更に話を進めるのが難しいです。
 ……惨敗。
 神儺さん、本当にゴメンナサイ!嵐くんと明良さんにも、本当にすみません!!





=====
ブラボーと沢山の拍手を送りたいです。おおおー!ちょっとちょっと!嵐だけでなく明良まで!馬鹿コンビが爽やか……(´▽`)
その上、猫目堂でお茶飲んでますがな。ちくしょう、私だって林檎食べたい!ら、ラエルさんとカイトくんと話してるよー、天使のあの子までおりますよー。……なんだかどきどきしますね。

そうですね、本家が若年寄二匹ならばこちらは本来こうあるべき若者の姿。四つ葉を探すのに腰を屈めても、「うわ、痛めた(明良)」「馬鹿(嵐)」みたいなアホな会話はしないに違いない。

しかも優しいじゃないか二人とも。そうか、書き手が違うとこんなに優しくなれるんですね。

夢の共演にうっとりさせてもらいました。これは貴重だ貴重。本当に本当にありがとうございます!


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