魔法


 魔法を君にあげよう。とびっきりの魔法を。
「どんな?」
 空を飛ぶよりも爽快で、欲しいものが何でも手に入るよりずっと楽しい。
 ドラゴンを相手にするよりワクワクして、美味しいものをたくさん食べるより満足する。
「それは本当に魔法?」
 どんな奴にも出来ない。子供はもしかしたら、大人は難しい。
 あなたにしか効かないただ一つの魔法。
「それは魔法とは言わないよ。おかしい奴」
 いいや、もう魔法はあなたの手の中にある。
「まさか」
 僕をおかしいと笑うあなたの笑顔。
 それこそが僕にしか出来ない、あなただけのとびっきりの魔法。




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