※家庭版発売前の勝手な妄想から生まれたアレ
【ある大尉の諜報活動】
ゆらりと黒のロングコートをはためかせ、カグツチを歩く影がひとつ。
その足音を聞きつけて物陰から興味深そうに覗くカカ族の子供。男はそれに気付き、ふわりと微笑み軽く舌を鳴らすと一匹が歩み寄ってくる。
腰を落とし手を差し出そうとすれば、後ろから駆け寄って来た別の子供に引っかかれ、二匹は目の前から姿を消してしまった。
「やれやれ、どこかの博士にそっくりだな…」
ひらりとコートの裾を揺らしながら男…ハザマは目的地へと向かう為再び歩み始めた。
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「さて、と。今日はこちらでしたっ…け」
手渡されたメモを見ながら、目の前の堅く閉ざされた鉄製の門を見る。いかにも金持ちだと分かる外観に趣味が悪いなあ等とぼやきながらどうやってコンタクトを取ろう、と立ち往生をしている間に門が動く。それは自分を招き入れる様なそんな感覚だった。
「ま、何にせよ…入れたら問題はありませんけどね」
ハザマは軽快な足取りで館へと向かう。館の玄関の扉も、廊下の扉も、全て導いてくれているかの様に開くのだから迷う必要が無い。そして最後の大きな扉を開いた先に目的の人物は居た。
「どうも、お招きして頂き誠にありがとうございます」
金の瞳をスッと細め、人の良さそうな笑顔を作り帽子を脱ぐ。
深々と頭を下げると、入れと低い声が部屋に響いた。
「では、お邪魔させて頂きますね」
「用件は何だ」
「おや、つれないですねぇ…。先程来たばかりだと言うのに…」
ヘラヘラと笑うハザマに館の主人は深く眉間に皺を刻む。
「図書館の狗の諜報部が来るとなれば、良い事では無いだろう…?」
「これは話が早い。例の話…お聞かせ願いますか?」
「はいそうですか…と、素直に話すと思うか」
パチンと指を鳴らせば部屋に黒ずくめの男が二人現れ、無駄の無い動きでハザマを拘束する。
「これはまた…手荒い歓迎ですねぇ」
「貴様の所為で全てを台無しにされては困るからな。…地下へ連れて行け」
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ひやりとした空気が頬を撫でる。少し湿度の高いその空気が、今居る場所を地上ではないと教えてくれる。
「全く、こんな乱暴にしなくても良いと思うんですけどねぇ…」
視界は黒い布か何かに覆われ見えない。手は後ろで拘束されている。唯一自由になる足にも、片方に枷が付けられ動く度にジャラリと音を立てる。口の中は苦い、鉄の味がした。
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残念ながら続きません