※ゲーマガ6月号の描き下ろしのアレ



【sweet time [Girl's side]】


「ほら、ノエル。そんなに慌てて食べない」
「ふぇ?はひは?」
「あは!しゃべれてない、しゃべれてないよ!」

学園内のカフェテラス。午後のアフタヌーンティーを楽しむ女子生徒達の中でも一際目立つ一角の中心にノエルは居た。
ルームメイトのツバキ・マコトとお茶を楽しんでいる…と言うよりかノエル自身は机の上に並べられたケーキを口の中に運ぶのに一生懸命になっている。

「全く。クリーム、ついてるわよ」

そう言ってツバキはハンカチを取り出し、ノエルの頬についた白や桃色のクリームを優しく拭う。「んー」と間抜けな声をあげながらもフォークを離さないノエルにマコトは自分のパフェを食べるのも忘れコロコロと笑う。

「もう。そんなに笑わなくてもいいのに」
「ごめんって。でもよく食べるよねーノエル」

そう言ってマコトはノエルの前に並んだ皿を指差す。

「どれも美味しそうで迷っちゃったんだもん。新作だって次々出ちゃうし…やっぱり欲張っちゃダメかなぁ…?」
「欲張り過ぎよ」
「ツバキー…」
「でもそんな事言いながらツバキはちゃっかり全部一口ずつ貰ってるよね」
「ま、マコト!」
「そう言えば…いつも一口頂戴ねって…」
「……」

分が悪くなったのかツバキは黙ってアイスティーを口にし、そのまま沈黙してしまう。

「あ、拗ねた」
「マコト!そんな事言っちゃダメだって」
「拗ねてなんかないわよ」
「ホラ!本当に拗ねちゃったじゃんかー!」
「あちゃー、どうしよ?」
「どうしよって…ツバキ、ひとつ…食べる?」

ノエルが机の上にあるデザートの1つ、器に入ったクリーム・ブリュレを指差す。
ツバキはそれをじぃっと見つめていたがしばらくして「いい」と呟き首を横に振った。

「…ツバキ」
「ほんとにいいの!」
「でも!」
「私は食べるより、貴女が美味しそうに食べているのを見てるだけで十分だから」
「私は?」
「マコトも」
「いいの…ツバキ?」
「えぇ。あ、ちょっと待って」

ツバキはクリーム・ブリュレの上に乗っているベリーの1つを指差す。

「コレ、貰える?」
「ふふっ…ツバキと同じ髪の色だね」
「えぇ」
「はい。どうぞ」




こうして女子生徒達の午後の一時は過ぎてゆくのだった。




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