第一印象は悪くなかった。
能力も申し分無い。

もしかすると、僕が認めたかもしれない数少ない人間。そうだったのかも、しれない。



【学び舎での出来事】



「こんにちは」

朗らかな声で挨拶をされる。ここ学校から少し離れた丘の上、通りすがりに挨拶は出来ない場所な筈だ。

「人影を見つけたので気になって来てみたんですが…あ、隣良いですか?」

そう言って近寄ってきた相手はまだ子供だ。タイのラインは桃色、小等部か。

「何の用だ?それ以前に、僕は君と面識が無い」
「あ、それは僕もです。噂には聞いていたんですけど、こうやってお会いするのは初めてですよ?」

妙にひっかかった物言いをする奴だと思った。

「噂…?」
「先輩、成績優秀でとてもお強いんですよね?よく実践映像見せてもらってるんです」

それで先輩は一種の憧れの的、声をかけてもらって狂喜してしまう子も少なくないんですよ?と子供は言う。
正直、他人にどう思われようが関係無かった。興味なんて無いのだから。

「でも、実際に会ってみて僕が思っていた印象とはちょっと違いました」
「どう、違うと言うんだ?」
「とても…冷たい目をしてます。他人に興味を示さない、冷たい目」

…その返答に少しこの子供に興味を持った。幼いながらに人を見る目は持っている。

「面白い事を言うな」
「そうですか?あ、昼休みがそろそろ終わるので失礼しますね!」

予鈴を聞き、そう言ってパンパンと芝生を払い立ち上がる。

「そう言えば自己紹介がまだでしたね。僕はカルル=クローバーです。これからよろしくお願いしますね、キサラギ先輩」

ニコリと微笑み子供…カルルは立ち去った。去り際に見たその笑顔は貼り付けた様な冷たい印象しか与えず、人の事を言えない奴め、と呟き立ち上がる。

「…面白い後輩が出来たな」

少しでも探ってやろうと会話の端々で見ていたが、カルルは何一つ本音を見せなかった。生温い士官学校にも飽きてきた頃だ、少しは刺激のある生活が送れそうだ。


「せいぜい僕を楽しませてくれよ…」





誰に言うでもなく呟き、ジンは喉の奥でクツクツと笑った。






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設定若干違ったけど、捏造だから仕方ないよね!





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