僕は最近夢をよく見る。
結末はいつも決まって真っ白な、暖かな光に包まれる。
それで目が覚める。

何かの暗示かな?とも思ったけれど、目が覚めればその夢は全て綺麗に忘れてしまっているのだ。






「姉さん、どう思う?」

第13階層都市カグツチ、その大通りを1人の少年と西洋の甲冑の様な長身の人形が歩く。少年は3歩後ろをぴったりとついて来るその人形を愛おしげに「姉さん」と呼んだ。
歩みを止め、隣に静かに佇む人形に声を掛ければ、少しこちらに首を傾けただけだった。

「姉さんも分からない?」

そっか、残念だなぁ。と呟き再び歩み始める。寸分の狂いも無く人形はまた少年の3歩後ろを歩く。

「でもね、あの光…とても心地良いんだ。まるで姉さんみたい。だから悪い夢じゃないと思うんだ。それに…」

と、言葉を続けようとしたが口を噤む。あの白い光の先が見えるとしたら、全ての現実を受け入れる必要があるのでは無いか…そう思ってしまうのだ。

「姉さん…うん。心配しないで?僕は、大丈夫…」

手にした手配書をくしゃりと握りしめ、少年は人形に微笑む。本当は不安で仕方が無いのに強がってしまう。いや、強がらなければいけないのだ。強がらなければ、幼い少年は確実に真実に押し潰されてしまう。

「…さてと、行こうか姉さん。賞金首の死神さん探しに」

スイッチを切り替えたみたいに、先程とは違う朗らかな声で人形に尋ねる少年。クンッと手を引くと人形は姿を変え、西洋の甲冑を脱ぎ捨て大柄な女性の姿になった。人形はゆっくりと少年へ歩み寄り、軽く腰を落とす。クスリと微笑み少年は人形へと腰を下ろすと、少年を支える様に人形の左手が添えられる。愛おしげにその手に触れると、それを合図に人形はカグヅチの街へと駆け出した。

街の電光掲示板には死神…ラグナ=ザ=ブラッドエッジの手配書が、大きく映し出されていた。








【終わりの見えない物語】





それは終焉へと永遠に辿り着けない物語





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