聞くが良い、誇り高き同胞。竜の尾から別たれた小さな兄弟よ。故郷を守る最後の者よ。 吾等は気高く、賢い。誇り高い。しかし吾等の身体は狡猾だ。卑怯だ。罪深い。騙して奪う。 でもそれはぬしのせいではない。吾等の罪。一族の罪。個体の罪ではけしてない。 ……うむ、そうだ、そうだな、吾がそう言ってもらいたかったのも知れぬ。赦してほしかったのかもしれぬ。誰よりいとしいあのひとに。それももう叶わぬ夢。それが苦しくて仕方がない。故に皆死んだのだ。故に、吾等は滅びることにしたのだ。
愛しい子。 幸いに、吾が降りたのを最後にあの村は無くなった。 一目で焦がれることも、きっと無い。 お前は永遠に独りで生きるといい。 誰とも関わらず、静かに生きるといい。 穴を塞ぎ、全て見えないようにして。 そうすれば、お前が苦しむことはないのだから。
置いていく父を赦せ、愛しい我が子よ。 されど、この身は己の罪にもはや耐えられぬ。 ……いや、吾が初めから死んでいれば、最初から独りにしてやれば 。別離の苦しみなど、味合わせずに済んだやもしれぬなぁ。どうか父を赦しておくれ、いや、赦さずとも、良いか。
愛している、吾とあのひとの大切な息子。誰より優しい子。 ――願わくば、お前の一生に一輪の花もないことを。
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