Short×2+Story
短編未満とかネタメモとか。



「 ストーカー魂 」


即興小説トレーニング(15分)で書いたもの。
多少修正っていうか書き終わらなかったので後半丸ごと足しました。

※お題:「素晴らしい小説トレーニング」
※♂×♂(妹のストーカー受)






これは取材なのだと、男は視線をそらしてもごもご口を動かした。

「全て取材なのだって、君の妹さんのブラジャーとパンツを盗んだのは。今僕が書いている小説に下着泥棒に狙われて恐怖するヒロインが出てくるのであって。小説にはリアリティが大事だろ?だから僕は彼女の反応をモデルに書こうとしているのであって、大人ぶって買ったオシャレな紫のブラジャーとパンティはあはあはあはあなどというやましい気持ちは欠片も抱いていな痛い痛い痛い痛いいたい」
「死ね変態、ストーカー、下着泥棒」

今までは変態とストーカーだけで済んでいた罵声に下着泥棒が加わってしまった。なおも不本意だと目で訴えかけてくる男の頬をつねりあげる手に力を込める。

「今回は流石に言い逃れは出来ないな。いい加減塀の向こうで臭い飯を食うか?」
「えっ見逃してくれるんじゃないの僕と君の仲じゃないか」
「1、1、0、と……」
「あああああああん何をしてもいいけどそれだけはやめてぇえええ!美沙ちゃんのおはようからおやすみまでの動向が知れなくなるなんてぼく死んじゃうううううううう」
「黙れストーカー」

この顔だけは良い男は、自称小説家であり(実際の職業は知らない)、俺の妹、美沙のストーカー野郎である。下着泥棒という新たな称号も得た男はくすんくすんと鼻を鳴らしながら俺の膝に縋りついてくる。

「今回も身体を差し出すから!差し出すからぁ!僕の事好きにしていいからぁあああ!!」
「お前俺がゲイだからって何度もその手が使えると思うなよ」

そう、こいつは顔だけは良い。目鼻立ちは無駄に整っているのだ、黙っていればモテるだろうしうちの妹も振り向くかもしれない程度には。初めてこいつのストーカー現場に出くわしたとき、エロマンガに良くある「黙っていて欲しければ身体を差し出せ」をやったのが悪かった。顔だけは非常に好みなのだが、いかんせん最近のこいつは身体を好きにさせれば妹に何をしても許される気がしているようだ。

「お前のそのストーカー魂には呆れと怒りを通り越していっそ尊敬の念を抱かざるを得ない」
「えっ、じゃあ」
「通報はする」
「いやああああああお願い、おねだりでも全裸にニーソでも君の大好きな緊縛でもどんなマニアックで特殊なプレイでも何でも喜んでするからぁああああああああああ!!!!最近何されても気持ち良くなってきたからいける気がする!僕やれる気がする!」
「声がデカい馬鹿!!!!」
「わっ、ぶ」

今日のところは見逃してやることにして、いつものようにラリアットでベッドに押し倒す。俺の性癖がこれ以上駄々漏れにされても困るので。というか、それくらい普通だろ。



「そうだ、自分の体験をもとに男同士の凌辱小説書こう……出来心で可愛い女の子に無体を働いたところを見られ鬼畜に逆らえず良いようにされる小説……最近こういうの人気らしいから、そしたら僕みたいな無名の小説家でも売れるかもしれない……」
「頭大丈夫か変態」
「……へんたい……」

君もあんまり人の事言えないと思うんだ腰痛い、と猫耳カチューシャと尻尾、あちこちに穴のあいたスク水を身につけた男は枕に顔を突っ伏したまま呟いた。心外な、俺は普通だ。



13.12.29 01:12  sato91go