短編

ジャム瓶の底で聞いた話


※イベント『アマゾネスドットコム』リラクゼーション施設 / トレーニングルームネタ
※会話文


「蘭陵王。精が出るね」
「えぇ、何事も日々の鍛錬あってこそ。戦にも配達にも通ずることですな」
「でも大丈夫? サーヴァントとはいえ、気疲れっていうか。配達もお客様商売だし、メンタルに来ない?」
「マスター、有難きお労りのお言葉、痛み入ります。ですが私という人間の性、なのでしょうか。いざ伏せて霊基を休めてみても、絢爛な食事を口にしているそのさなかも、戦術考案に浸ってしまい……こうして鍛錬に励み、頭を休めていた次第です」
「蘭陵王……」
「ご心配には及びませんとも。何かに没頭しないため、また別の何かに没頭するというのは些かの矛盾を孕みはしますが、これはこれで心地の良いものです」
「そこまで言うならこれ以上口は挟めないけど……」
「マスターの方こそ私の鍛錬などご覧になっても、さぞや退屈なことでしょう? そこで、読書スペースに移動するというのはいかがですか? 実は読書家のサーヴァントの方々にもお力を借り、マスターの好みに合いそうな本を見つけたのです。私の見立てになり恐縮ですが、ぜひおすすめさせて頂きたく。」
「えっ、本当? 嬉しいよ!」
「いえ、私の普段の愛読書など兵法書ばかりですから、あまり自信はないのですが。どうしてもあなたに、喜んで頂きたかった」
「ら、ら、ららら蘭陵王〜〜〜〜っ!!」


2020/02/11

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