*激しい下ネタ
*過去に一度にゃんにゃん済みの盗賊
*赤ロラが居ます
*ほんとにごめんなさい
*何でも許すことができる片向けです
*暗転部有です。パスは裏と同じ






男同士の猥談が盛り上がるのには、自分と話し相手の下の波長が如何に合うかに尽きると思っていた。だから、下の波長すら感じさせない相方とは、そっちの分野の話題が上がることすら想像すらしたことなかったのに。

外出先から帰ってきて扉を開けると、ソファーのど真ん中で胡坐をかいた相方さんが、膝に頬杖をついてこちらを見あげていた。気の所為か、じとりと据わった半眼で、笑ったら綺麗な口元が今は不機嫌そうに閉じられている。しかし現在俺を硬直させている最大級の問題は、柔らかそうな頬をつぶしているのとは逆の方の手にあった。意外に固くて荒れているそこには、見てはならないものが握られている。

「イヴェール、さん?」

ごつくてグロテスクで、親近感のある形を象った棒――張型、アレを模した巷に言う大人の玩具。しかもかなりリアルに再現されている。すぐさまモザイクを掛けなけれならないそれを、相方のイヴェールは苛立たしげに、ごすごすとソファーへ叩きつけていた。

何て言う光景だ。思わずどころじゃなく絶句していると、イヴェールは無言でそれを俺に向かって投げてきた。反動で銀色の尻尾が宙を舞う。ぶっちゃけ受け止めたくない。避けたい気持ちで一杯だったが、ここは素直に受け取っておかないと相方の拳が火を吹くだろう。そう直感するくらい、相方は不機嫌な顔をしている。

ぱしっと乾いた音を響かせて、アレは俺の手に納まった。瞬間「うわ…」と呻いてしまう。視覚的にも相当くるが、手に取ってみると尚更だ。予想外に生々しくて、気持ち悪いようなこそばゆいような。ていうか、そうじゃなくて。

「何でこんなもん持ってんの」
「僕の持ちものじゃない」

それは大体想像ついていたけど。何と言うか、相方とアレの組み合わせが異常過ぎて、冷や汗が流れる。どうしよう。嫌な予感しかしない。

「や、イヴェールがそれを持ってる経緯はどうなんだって」
「プレゼントだ」
「……そうかプレゼントか。お前もよく熱心なファンにモテるよな」

この時期には露出狂だのストーカーまがいだの、麗らかな陽気に中てられて頭が湧く人間が増える。特に歓楽街近い俺たちの住処は言わずもがな、今まで直接的な被害に遭ったことはないけれど、とうとうきてしまったという所か。

うんうん頷いていると、イヴェールは深く溜息をついた。分かるよその溜息つきたい気持ち。俺も際どい所まで露出して馬鹿騒ぎする連中を、今までに星の数ほど目撃してきた。酒場とかで。

イヴェールは「勘違いするなよ」と低い声で呟いた。

「僕宛じゃなくて、お前宛だ。ロー、ラン、サン、宛の!」

イヴェールは、一度固まってからすぐに悲鳴を上げた俺の頭を勢いよく叩いた。おかげで悲鳴はすぐに止まったものの、一度限界まで開けた口は中々塞がらない。イヴェールに、ならまだ分かる。しかし何で俺なんだ。

「はは、なに、笑えない。笑えないってその冗談」
「冗談じゃない。因みに送り主は、お前の方が面識ある奴だ」

どうやらメッセージカード紛いのものもあるらしく、俺は相方がひょいと取りだしたそれを慌てて分捕った。一度目を通して、確かに宛名が俺の名前であることに今度こそ絶句する。送り主の正気を疑いたい。しかも面識のある奴だって?俺は恐る恐る頭を下げて、カードを隅まで眺めた。まん中には目に痛いピンクでハートが描かれていて、肝心の差出人の所には。

ぞわぞわと全身に鳥肌が立ってしまった。確かにそこには赤いペンで見知った名前が書いてある。フランボウ・ローラン。そして俺はすぐに悟った。これは嫌がらせという名の暇つぶしだと。

「あ、あの野郎……っ」

そういえば最近暇で仕様がないと、この間会った時に喚いていた。自身が手掛けている劇場の春公演は少し前に楽日を迎えていて、次のネタ集めといっては方々遊び歩いているようだった。明日辺り俺が怒鳴りこんでくるだろうと、今頃ニヤニヤ笑いながら酒でも飲んでいるのに違いない。赤い髪がニタニタしている姿が簡単に想像できて、俺は腸が煮えくりかえる気持ちだった。そんな野郎を夫にもつ幼馴染に、これまで何回離婚を勧めてきたことか。今回はイヴェールまで巻き込みやがって。俺はそこではた、と相方を見た。

「イヴェ、じゃああいつに会ったのか?」
「お前が外出てる間に、ここへ来たけど」
「……よしイヴェール、部屋変えようすぐに。明日でも!」

何であいつがここの住所を把握しているのかは、知りたくもない。しかしこれから何回もここへ来られるのはうざったい。

確か上の階に空き部屋があったはずだ。別のアパルトマンに変えたっていい。その前に、奴の希望通りお礼参りに赴かなければ。シエルなら事情を話さなくても、ただならぬ雰囲気に気づいて味方になってくれるだろう。そう考えると仕返しは案外容易い。決意に拳をぎゅっと握ると、例のアレの感触がして脱力した。

















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