7.素直じゃなくて悪かったね




前回の続き。イヴェールの出番(と書いてターンと読む)。






相方はよく家出をする。理由は相方が勝手にいじけたり、喧嘩したりと様々あるが、今日はそのどれとも違う。今回の相方の家出は、僕に全面的な非がある。今にして思うと、冗談にするにしろ結婚云々の話は重かった。相方が飛び出して行く前の、泣き出す一歩手前の表情が僕の罪悪感を膨らませる。


 けれど本当に不可解なのは、相方のあの反応を見て心のどこかで安心した自分が居たことだった。馬鹿な、何で僕が安心する必要なんかあるんだ。まるであいつに、他の所へ行くなと縋りつかれることを期待してたみたいじゃないか。そう考えていると僕の中から違う、という反撃があげられた。


「違う…みたい、じゃない。本当に期待してたんだ、僕は」


静かな部屋に言葉をおとすと、そのまま自分の中で形になって行く。後もうひと押しとばかりに、最近の自分の行動が頭の中でよぎった。
 相方が風邪をひいたときに、わざわざ眠ってる隙に看病したこと。相方が他の誰かと一緒にいるところを想像していらついたこと。そういえば、面食いなあいつに一発殴ったこともあったな。

僕は両目に冷えた両手をあてて笑った。

(何か、健気に片想いする子供みたいだ…)

そんな思考に寒気がする前に、今まで体の奥底でとぐろを巻いていたもやもやがさあっと晴れた。おかげでそこに隠れていたものを自覚する。もやもやの正体は、この隠されたものに気がついたら僕が僕でなくなるかもしれない、という無自覚の恐怖だったんだろう。でもそれに気付いてしまった今、僕を怖がらせていたものはあっさりすとんと心におさまって、根を張ってしまった。ここまできたら、もう後戻りはできない。認めるしかない。

(僕は、あの馬鹿が好きみたいだ)


笑いが止まらない。思い返してみれば、自分でもわかっていなかった行動の数々に、相方への執着があった。相方の家出の原因である疑問なんか初恋にやきもきして、相手にそれとなく探りを入れる少年そのままではないか。我ながら気持ち悪い。本当に、いつのまに、なんで、こうなってしまったのだろう。




あの冗談に泣き出しそうな顔をしたってことは、少しは脈があるっていうこと。けど、素直にこの気持ちを伝える気はない。もっと僕のことなら苦しめばいいんだ。

 とにかく、逃げ出した相方を離すつもりもさらさらないので、いつの間にか降り始めた雨を言い訳にして、僕は相方を捕獲しに行くことにした。






イヴェールの自覚話でした\(^o^)/そして続きはまた次回o=rz
自覚したけど、まだくっつくには程遠い…。此処の人たちがくっつくまで、学パロの二人にピンクサイド頑張ってもらう方針でww
甘い二人が、見たいなぁ…






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