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次の日の昼休み。 小春は友哉に宣言したようにアイディアを持って来ていた。 「友哉君、これに出て優勝したら効果てき面やで!」 そう言って友哉の目の前に出したものはチラシ、チラシには大きく『女装コンテスト開催するで!参加者大募集チュウω』と書かれてある。 「…は?」 突然友哉の目の前に現れたチラシ。ピントを合わせてその文字を読んでみた。そこには奇奇怪怪な言葉しかならなんでおらずただ一文字口からこぼすことで精一杯だった友哉。 「あー…もう、そんな時期なんやぁ…。」 反して謙也がしみじみと言う。懐かしむものがあったらしい。 「なにそれ…毎年やってんのか?こんなこと……。」 「ここを何処だと思うとんや?お笑いの本場大阪やで?こんな笑いがとれるコンテスト毎年ごろごろやっとるで。」 「……で、金色…なんでこれに出たら効果てき面なんだ?」 「これで優勝するんは女子の票を獲得したモンなんよ。つまり、ここで票をいっぱい獲得できるってことはそれだけ人気が出るっちゅーこと!あとは…おもろい男子がモテるんはセオリーやもん。手っ取り早いやろ?一回出ただけでおもろい男子と認識されるんやで?」 「…遠慮するよ。そこまで身をはりたくない。」 チラシをポイッと捨てて弁当を食べる作業に戻る。 「えー、友哉出んのんかー!?おもんないわぁ…つまらんわぁ。」 「そこまでしてモテなくていい。女装だぞ!?なんでそんな恥ずかしい格好しないといけねぇんだ!」 「大丈夫や、恥ずかしいのは一瞬だけや。後からは楽しいから安心しぃ。」 「…謙也…もしかして経験者?」 「おん、俺は1年の時に出ただけやけどな。つか、テニス部部員は一回は出たことあるで?」 「え、マジ?」 「マジや、一昨年の優勝者は白石やでー、めっちゃモテとるやろー。因みにメイド服な。」 「………。」 「で、去年は財前が優勝しよったで確か……。」 「ゴスロリで参加しました。」 「そう、ゴスロリや。」 「ダウトォォォオ!!」 「何がや?」 「財前モテてねぇじゃん!キャーキャー言われてねぇじゃん!黄色い声援の中に財前の名前なんて一個も上がってなかったぞ!」 「は?守本なに言うてんの?財前は俺の次にモテとるんやで?二年の教室行ったら財前の周り人だかりやで。声援の中に財前の名前が上がっとらんかったんは財前が過去にガチ切れした事件がったからやで。」 「え、マジ…?」 「…ホンマっす。」 「そんな真実知りたくなかった!」 「で、どうするん?友哉君出るん?出ないん?」 「………ッ。」 モテたいが、女装なんてしたくない。なんだか男子としての尊厳をドーンと失ってしまいそうで躊躇する。 「友哉ー四天宝寺に来た記念にでも出とけばええやん。」 「そうよん、出とけばええやない。服のとこなら心配せんでもええよ、ユウ君が作ってくれるから。ねーユウ君!」 「小春の頼みなら作ったるわ。」 NOとは言えない空気になってきた。 「…出て……みよっか…な?」 悩みながらも参加することを決めた。 「わー!さすが友哉君男らしいわぁ!」 「でも、これから女の子になるんやけどな。あ、メイド服は止めといてな。俺の古傷が開く。」 「よう決断したな!流石友哉や!関東モンにはこのノリはきついかと思ったんやけど、余計な心配やったな!」 「友哉さん、俺応援しとりますから。」 他人の不幸は蜜の味と言いたいぐらいに食いついてきたメンバー。もう後には引けなくなってしまった。 「わー…お前らノリよすぎだろ。誰かひとりドン引いてくれたら俺、キャンセルしようとしたのによ!」 「そんなん求めとっても無駄やで、俺ら…つか、ここの学校は全員ノるしかせんでぇ。」 「…立海に戻りてぇ!」 ノリがよすぎるのも考え物だ。 「そういや、一年以外で出る奴初めてやな。」 「あぁ…せやなぁ。テニス部からは金ちゃんとかやもんなぁ。」 「は!?え…ってことは俺以外は一年生がコレに出んの?」 「せや、三年になって出るんは恥ずかしいやん。やから俺らは大体1年の頃に出とるでー。」 「え、じゃ俺辞め…。」 「――――よろしゅう頼んますー。」 「へ?」 小春が電話をどこかにかけていた。 「友哉君!今エントリーしたったから!コンテストに向かって張り切っていくでぇ!目指せ優勝!四天宝寺モテモテライフや!」 「ぅえ!?」 「今日から女らしい歩き方の練習と、仕草の練習、後は…やっぱ衣装のアイディアを練らないとあかんよなぁ!」 とても乗り気な小春。この暴走列車は止めることが出来ず、友哉はどうにでもなればいいと諦めた。 |
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